『Dairy Japan 2024年3月号』P.50「初産分娩までが未来の経営を左右する-1」より
育成牛は、あなたの農場の将来の牛群です。ですから育成管理の改善は、経営基盤の強化と言えます。
育成管理の改善に軸足を置いた「初産分娩までが未来の経営を左右する」と題したシリーズで、海田佳宏さん(株式会社 清流酪農サービス・代表)が詳しく解説してくださいました。
今回は、その第1回目です。以下、抜粋・要約。
初産分娩月齢の推移
北海道酪農検定検査協会の資料によると、2017年(7年前)の初産分娩月齢は「24カ月18日」、初産時乳量は「8532kg」でした。2023年の初産分娩月齢は「24カ月6日」、初産時乳量は「8939kg」でした。その差は「12日」「407kg」です。
初産分娩は早期化しているだけでなく、初産時乳量は毎年約70kg増加しています。
初産分娩月齢の分布
初産分娩月齢の分布を見ると、「22カ月以下」が約3割、一方で「25カ月以上」も約3割います。ということは、初産分別月齢の目標は「月数」だけでなく、その「バラツキを少なくする」こともあります。
著者は、「24カ月齢以内に9割の個体が初産分娩を完了する」ことを目標として提案しています。
初産分娩月齢と乳量
十勝農協連の2022年資料によると、初産分娩月齢「22カ月」の初産時乳量は「9900kg」、「28カ月」の初産時乳量は「1万200kg」で、その差は「300kg」です。また初産分娩月齢が進むと、分娩間隔が長くなる傾向にあります。
初産分娩を遅くしてもコストがかさみ、乳量は飛躍的に高まることはありません。
初産分娩月齢の遅延を改善することは、泌乳開始を早めるメリットがあり、その後の繁殖成績も良好である傾向が示唆されます。
育成管理の目標設定
早期に多くの育成牛を分娩させるための着眼点は以下です。
1 出生からの健康と増体。
2 12から14カ月齢で授精に十分な体格を確保。
3 受胎後から分娩に向けた適切な飼養管理。
皆さんの農場では、過去からの初産分娩月齢の推移や実績、初産分娩月齢のバラツキ、育成の実態、授精成績、衛生管理、初産時の乳量や繁殖成績など、初産牛のパフォーマンスはいかがでしょうか?
育成の改善効果は高く、将来の牛群成績に有益です。
次回は、「子牛の増体」について探ってみます。
この記事が面白かったらシェアしてください!
↓ ↓ ↓
PROFILE/ 筆者プロフィール
小川諒平Ryohei Ogawa
DairyJapan編集部。
1994年生まれ、千葉県出身で大学まで陸上競技(走り高跳び)に励む。
趣味はサッカー観戦。
取材先で刺激を受けながら日々奮闘中。
皆さんに有益な情報を届けるために全国各地にうかがいます。