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ゲノム検査結果を活かす

JOURNAL 2024.07.11

 らくちっくラジオの寺内です。

 補助金のおかげでゲノム検査に取り組む牧場は増え続けていますが、「検査結果をどう活かせばいいかわからない」「データはあるが見たことがない」という、もったいない話をよく耳にします。
 ゲノム情報は大切な資産です! 私なりの活かし方について解説しますので、より良い牛群作りに活かしてもらえたら嬉しいです。

 ゲノム情報を活かした牛群改良のステップは4段階です。

ゲノム検査を活かした牛群改良の4ステップ

  1. 軸を決める:牧場のインデックスを作る
         :精液の選択基準を決める
  2. 上位を増やす:遺伝能力の上位牛の遺伝子を残す
  3. 下位を減らす:積極的な淘汰基準を決める
  4. 実行と評価:決めた基準を守って実行する
         :改良が進んでいることを評価する

 牛群を改良する方向について軸を決めます。TPIやNM$(ネットメリット)という総合指数を軸にすることが一般的です。牧場独自の総合指数を作る場合や、健康総合指数のDWP$を軸にする場合もあります。
 改良の方向性が決まれば、どの精液を選択するのかも総合指数で決めやすくなります。「軸を決める」とは、「母牛側と種雄牛側の共通の判断基準を決める」と言い換えることもできます。

 軸を決めたら牧場のインデックスを作ります(図2)。牧場のインデックスも、精液選択基準も総合指数一つを基準とします。基準を絞ることで改良のブレが小さくなります。精液会社経由でゲノム検査をしている場合は、実は知らず知らずのうちにゲノム情報が精液選択に活用されている場合があります。

図2:牛群のインデックスのイメージ

  図2の牛群インデックスは、検査済の牛達が総合指数の高い順に並んでいると考えてください。
  上位5から10%:とくにゲノムの数値が高い牛はOPUドナーとして受精卵を生産し、ゲノム下位の牛へ移植して、その遺伝子を牛群に多く残します。こうして最上位の遺伝子が年に何頭も後継牛として残されていきます。
 上位10から50%:上位半数の牛は性選別精液でその遺伝子を年1頭のペースで残します。ここまでの牛で後継牛を確保します。
 下位50%:遺伝能力が下位の牛は後継牛を残しません。F1もしくはETレシピエントとします。販売による積極的な淘汰の対象は下位5%から30%まで農場によって変わります。繁殖状況や後継牛の数にどれだけ余裕があるかによります。

図3:牛群改良の考え方のフロー

 今回はゲノム検査結果の使い方として、ゲノムに基づく牛群改良の私の考え方を解説しました。さらに具体的な運用についてはゲノム検査の代理店や検査機関、お近くの詳しい方にご相談ください。牛群改良も一人で考えるより、多くの協力者とともに考えたほうが適切に進められると思います。

 質問やご意見はいつでも受け付けております。

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PROFILE/ 筆者プロフィール

北海道にて酪農場勤務と㈱トータルハードマネジメントサービスでの修行を経て、2016年より家業の寺内動物病院を継承。個人診療所では地域のニーズに応えきれないため2022年より法人化し、現在は獣医師4人在籍する㈱寺内動物病院の代表。

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