酪農は、多くの人たちが関わることで成り立っている産業です。
私は、さまざまな「つながり」を強く意識して経営しているのですが、その中でいつも考えることの一つが、経費削減による影響です。
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水本牧場ブログ51:改めて考える「消毒」と「殺菌」 そして、もう一つの選択肢「加菌」
INDEX ➖
1. 経費削減は、間違った判断ではない
酪農家が、外的要因に左右されない経営を目指し、経費削減に取り組むことは、決して間違った判断ではありません。
むしろ、先行きが見通せない経済環境の中で、無駄を見直し、経営の効率化を図ることは、酪農を継続していくために必要な努力です。
しかし、ここで一つ、考えておかなければならないことがあります。
2. 経費削減が全国に広がったら、何が起こるか
一軒の酪農家が経費を削減することは、その農場の経営改善につながるかもしれません。
では、その経費削減が地域全体に広がり、さらに全国の酪農家へと広がっていった場合、何が起こるでしょうか。
- 飼料販売店の売上が減少する。
- 機械や設備の更新が先送りされる。
- 獣医師や授精師など、専門サービスの利用が抑制される。
- 酪農ヘルパーなどの代替サービスの利用が減少する。
こうした変化が積み重なれば、酪農関連企業の収益が圧迫され、雇用や人材育成にまで影響が及ぶ可能性があります。
そして、地域の販売店が撤退し、修理業者が減少し、専門職が不足すれば、最終的に困るのは誰でしょうか。
他でもない、私たち酪農家自身です。
3. 巡り巡って、困るのは酪農家自身
- 必要な資材が、以前のように手に入らなくなる。
- 機械が故障しても、すぐに修理に来てもらえない。
- 繁殖や飼養管理について相談できる専門家が、地域からいなくなる。
- 外部委託していた作業を、自分たちで担わなければならなくなる。
つまり、外的要因に左右されない経営を目指して行った経費削減が、その輪の広がり方によっては、酪農業界全体の基盤を弱め、巡り巡って自分自身の経営に影響する事態へとつながりかねないのです。
だからこそ、これからの酪農家には、目の前の自分の経営だけを見るのではなく、もう一段広い視野が求められるのではないでしょうか。
4. 自分の農場は、多くの人に支えられている
自分の農場を守ることは、もちろん大切です。
しかし同時に、自分の農場が地域の酪農関連企業や専門職、さまざまなサービスによって支えられていることも、忘れてはなりません。
自分が利用するサービスの先には、そこで働く人々の生活があり、その事業を継続するための経営があります。
その経営が成り立たなければ、技術も人材も、将来に引き継いでいくことができません。
5. 酪農家一人ひとりに求められる当事者意識
「自分の経営さえ良くなればいい」という考え方だけでは、酪農業界全体の持続可能性を守ることは難しいのだと思います。
酪農家一人ひとりが、酪農業界の構成員であるという当事者意識を持つこと。
自分の経営判断が、地域や業界全体にどのような影響を及ぼすのかを考えること。
そして、必要なサービスや技術、人材を将来に残すために、自分には何ができるのかを考えること。
それは、誰かに求めるだけの問題ではなく、私たち酪農家自身にも求められる姿勢ではないでしょうか。
酪農業界全体が持続しなければ、個々の酪農経営も持続することはできません。
6. 自分の経営と業界全体は、別々の問題ではない
自分の経営を守ることと、酪農業界全体を守ること。
この二つは、決して別々の問題ではないのです。
大きなことを言っているように聞こえるかもしれません。
しかし、自分の経営だけを見るのではなく、少し視野を広げて、酪農業界全体に目を向ける。
この移り変わりの速い時代を、これから先も酪農で生き抜いていくためには、そうした意識を持つことが、ますます重要になってくるのではないかと思います。
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