農業や酪農の現場では、担い手不足と高齢化が大きな課題となっています。北海道でも認定農業者数は減少を続けており、地域農業の持続に向けて「誰が次の世代を担うのか」が重要なテーマになっています。
こうした状況のなかで注目されているのが「事業承継」です。農地や施設、機械、経営ノウハウを円滑に引き継ぐことで、長年築いてきた農業経営を次世代につなぐことができます。
今回は、北海道の農業・酪農の現状を踏まえながら、事業承継の重要性について解説します。
『失敗したくない! 経営継承準備のヒケツ「Dairy Japan2025年7月号」』 筆者:小島 拓也(税理士法人 小島会計・代表)以下、要約。
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北海道の農業・酪農で進む担い手不足
私は北海道生まれ、北海道育ちで、祖父も農業に従事していました。そのため、税理士として農業者の皆様を支援する以前から、農業は非常に身近な存在でした。
そんな北海道の農業が今、担い手不足という大きな課題に直面しています。
農林水産省の調査によると、北海道の認定農業者数は平成12年の約26万1000人から、平成31年には約12万8000人へと減少しました。20年足らずでほぼ半減したことになります。
また、基幹的農業従事者の約4割が65歳以上を占めており、高齢化も進んでいます。若い世代の就農が思うように進まず、多くの地域で人材不足が深刻化しています。
各地域でも人手不足への対応が進んでいる
担い手不足は、北海道内の各地域でも共通の課題です。
例えば、仁木町ではミニトマトの生産が盛んですが、高齢化の進行により繁忙期の人手不足が慢性化しています。
そのため、ICTを活用した省力化の取り組みが進められています。
また、小清水町では町外の人材を活用する仕組み作りが行なわれており、地域全体で農業を支える取り組みが進んでいます。
このように、各地でさまざまな工夫が行なわれていますが、新たな担い手を確保するだけでは課題の根本的な解決には至りません。

地域農業を未来につなぐ「事業承継」の重要性
担い手不足の解決には、新たな人材を確保するだけでなく、地域を支えてきた農業経営を次世代へ円滑に引き継ぐことが重要です。後継者が安心して経営を引き継げるようにするためには、現時点の農業資源を見える化し、計画的に承継準備を進めることが欠かせません。
農業の事業承継でよくある悩み

税理士として農業経営者の方々と接するなかで、次のような相談を受けることがよくあります。
- 何から始めればよいのかわからない
- 相続税がどのくらいかかるのか不安
- 贈与税の負担が心配
- 農地をどのように引き継げばよいのかわからない
農業の事業承継では、農地法の制約や、土地の評価額と実際の収益力の違いなど、一般企業とは異なる課題があります。そのため、税務・法務・経営の視点を踏まえた準備が必要です。
事業承継の第一歩は「現状の見える化」
担い手不足を解決し、後継者が安心して経営を引き継ぐためには、まず現状を整理することが大切です。
例えば、次のような項目を確認します。
- 農地や施設の一覧
- 借入金の状況
- 資産の評価額
- 相続税の概算
- 後継者の意向
現状を見える化することで、何を準備すべきかが明確になります。
まとめ|農業の未来を守るために今から準備を
農業・酪農の担い手不足が進むなかで、既存の経営を次世代へ円滑に引き継ぐ事業承継の重要性はますます高まっています。
事業承継を成功させるためには、
- 早めに準備を始めること
- 経営の現状を見える化すること
- 専門家に相談すること
が重要です。
大切に築き上げてきた農業経営を未来につなぐためにも、今から少しずつ準備を始めてみてはいかがでしょうか。
次回予告
次回は「なぜ今、農業の事業承継に着手すべきか?」をテーマに、承継を早めに進めるメリットや、具体的な第一歩について解説します。
▼詳しい実践方法は『Dairy Japan2025年7月号』に掲載しています。
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