ハードヘルスチャンネル その1
及川 伸(酪農学園大学 ハードヘルス学教室・教授)
酪農学園大学 ハードヘルス学教室の及川伸教授にルーメンフィルスコアについてご解説いただきました。分娩後の立ち上がりを順調に過ごすには乾乳期にしっかりとエサを食べられていることが重要です。その指標となるのが第一胃の充満度「ルーメンフィルスコア」です。
↑まずは映像をご覧ください。
ルーメンフィルスコアとは?
牛がエサをどれだけ食べられているかを目視で確認するときに用いる指標です。5段階に分かれており、15とから数字が増えるにつれ「しっかり食べられている」と判断できます。とくに気をつけたいのはスコア1と2です。これらを避けることが重要となります。
また及川先生の研究では、ルーメンフィルスコアが1下がると、分娩後疾病にかかるリスクが約2.6倍増加する可能性が示されています。
ルーメンフィルスコアの観察方法は?
ルーメンは牛の左側に位置するため、牛の左側面に立って観察します。注意点は以下です。
・牛が平行に立っている状態(段差などに足をかけていない)。
・牛が落ち着いている。
・呼吸が落ち着いている。
・触って確認しない(目視で確認する)。
これらに注意して観察すると、その牛の乾物摂取量(どれだけ食べられているか)の検討をつけることができます。とくに、分娩2週間前から重点的にチェックするのが効果的です。
また、スコア1と2が注意すべきポイントで、3以上はルーメンが適切に満たされていると及川先生は言います。
スコアの判断方法は?
・スコア1
牛の左側面(肋骨の後ろ側)が大きく台形のように凹んでいる状態。
・スコア2
牛の左側面(肋骨の後ろ側)が逆三角形のように凹んでいる状態。
・スコア3以上
過剰な凹みがなく、自然に張っている状態。
スコアを確認したら?
ルーメンフィルスコアを確認し、スコア1や2に該当したら「なぜそうなっているのか?」原因を突き止め対処する必要があります。飼料の質や量の改善、飼養環境の最適化、ストレスの軽減など、具体的な原因に応じた対策を講じる必要があります。また、健康問題が原因で飼料摂取量が減少している可能性もあるため、獣医師による健康診断も重要です。
PROFILE/ 筆者プロフィール
前田 真之介Shinnosuke Maeda
Dairy Japan編集部・北海道駐在。北海道内の魅力的な人・場所・牛・取り組みを求めて取材し、皆さんが前向きになれる情報共有をするべく活動しています。
取材の道中に美味しいアイスと絶景を探すのが好きです。
趣味はものづくりと外遊び。