ルーメンから土壌までつながる“見えない主役”
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ルーメンの中で起きていること
牛のルーメンは、有機物を発酵・分解する巨大な「発酵タンク」です。
ここで主役になるのが“微生物”。デノボFA(ルーメンの活発具合)、MUN(栄養バランス)が適正に保たれている時、微生物はしっかり働き、健全な発酵が進みます。
この健康なルーメンから生まれる糞尿は「良質なスラリー」になります。
微生物の種菌が豊富で、アンモニアの発生が少なく、発酵を邪魔しない良いバランスの素材です。
このスラリーを“そのまま”畑に返すことで、土の微生物が活性化し、循環型酪農の土台ができます。
「牛 → 糞尿 → 畑 → 草 → 牛」
このループの中心にいるのも、やはり“微生物”です。
微生物はどこをつないでいるのか
循環型酪農では、微生物が
ルーメン → 糞尿 → 土壌
この3つをまっすぐつなぎます。
糞尿は処理物ではなく“資源”。微生物を味方につけることで価値が変わります。
堆肥とスラリーの加工で微生物を活かす
① 堆肥づくり(好気性発酵)
酸素を好む微生物が活躍しやすいように、おがくず・麦乾などを混ぜ、水分や炭素・窒素の比率を調整します。
そのうえで切り返しや強制通気で空気を送り込みます。
発酵熱が60〜70℃まで上がり、病原菌や雑草の種子を死滅させ、安全な完熟堆肥になります。
② スラリーの安定化(曝気)
スラリーには空気を送り込んで「曝気処理」を行ないます。
悪臭の原因物質が分解され、窒素の揮散も抑えられ、均質で扱いやすい液肥に変わります。
作物の吸収性も上がり、畑への散布効果が高まります。
微生物活用で経営はどう変わるか
廃棄物だったものが“資源”に変わることで、経営の数字にも効いてきます。
・自家製堆肥・スラリーに含まれるN・P・Kを活かせば化学肥料費が減る
・土壌改良が進み、保水性・通気性が改善
・病気に強い土になり、牧草の品質が安定
・草の品質が上がれば購入飼料の削減にもつながる
微生物の効果は地味ですが、後から効いてきます。
実際に続けてきたから分かる“じわじわ変わる土”
うちでは就農当初からスラリー主体の土作りに取り組み、2年目からは微生物資材にもこだわってきました。
正直、最初の数年は大きな変化はありませんでした。しかし、就農5年を過ぎた頃から数字・見た目・香りまで明らかに変わり始めました。
収穫前の牧草の揃い方、収量、草の柔らかさや色、香り。
五感で分かる品質の向上が、微生物の力が土に根づいた証拠だと感じています。
最後は「見える化」が循環を強くする
循環型酪農を本当に機能させるには、自家製肥料の成分分析と土壌診断が欠かせません。
土の状態に応じて化学肥料を減らし、微生物を基点とした良質な有機肥料を散布する。
これがコスト低減と過剰施肥の防止につながり、持続可能な経営の軸になります。
微生物を含む糞尿を堆肥やスラリーとして使いこなし、豊かな土を育てること。
その積み重ねが、循環型酪農の“柱”になります。




