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酪農現場ノート2:とかち酪農女性プチサミットに行ってきましたので様子をお伝えします

JOURNAL 2025.11.26

住野 麻子

住野 麻子Sumino Asako

こんにちは! 気温がぐっと下がってきました。日高山脈は白くなり、冬の訪れを感じています。

今回は、11月5日に帯広市で開催された、とかち酪農女性プチサミット2025へ参加したので、そのレポートをお届けします。十勝での開催は3回目となる今回は、200名を超える申し込みだったそうで、会場は参加者の皆さんの熱気に包まれていました。

なんでこの牛、調子悪いんだろう? 答えは“移行期”に?

午前中は、栄養学を中心に乳牛の飼養管理に関する情報を発信しているデイリーコンパス代表の久富聡子氏による「乳牛の分娩前後の飼養管理について」の講演でした。

分娩前後(移行期)に母牛が受けたダメージは、分娩トラブルだけでなく、乳量の低下や死廃率の上昇などその後の生産性ロスにもつながります。しかし、影響が長期的になるが故に、移行期にトラブルがあったことを忘れてしまいやすいという点を指摘していました。なんとなく乳量が落ちている・なんだかこの牛調子が悪いな、という原因が移行期に潜んでいるかもしれないという重要な注意喚起だと感じました。

また、移行期管理のポイントとして、「乾乳牛を太らせないこと」を重要視していました。乾乳牛を太らせることで乾物摂取量が低下してしまいます。分娩という大きなストレス源がある移行期において「乾物摂取量が確保できない」=「喰えない」というのは、牛が必要な栄養を摂取できないためトラブルを生む大きな原因になります。

搾乳牛の時期から牛の太り具合(BCS)を意識して、牛を太らせすぎないこと、移行期の乾物摂取量を確保するために過密の回避や蹄の治療が必要なことなど、気づきと学びをいただいた講演でした(BCSについて、講演の中で周りの方に聞くことも手だとお話がありました。普及員も農場に行った際は必ず見ていますので、ぜひお声がけください!)。

牛の過密環境を再現した試験の動画では、過密環境のため飼槽からはじき出されてしまう牛の映像が流れ、会場からは過密の影響を実感する声やはじき出されてしまった牛を応援する声などのリアクションがあり、皆さんが熱心に講演を聴いている様子が伺えました。

お昼休みには、23団体にも及ぶ出展ブースで各メーカーの情報を積極的に収集する参加者の様子がみられました。ブースだけでなく、同じ地域の方、久しぶりに会った方などが積極的にコミュニケーションを取っており、参加者同士のつながりがサミットの熱量につながっているのだと感じます。

仲間のエネルギーを直に感じる良い時間でした

午後の部は、大盛り上がりの広尾町酪農音頭に始まり、3名の酪農家によるトークセッションが行われました。陸別町の村上裕子氏、別海町の小林晴香氏、広尾町の椛木円佳氏が登壇し、ご自身の牧場の管理についてお話されていました。飼養頭数・牛舎形態も全く違う3牧場の飼養管理について写真を交えて紹介し、会場からは暑熱期の管理方法やモチベーション維持の方法について質問が上がっていました。

 

私はこのサミットに3年連続参加しておりますが、とにかくこの熱量に毎回圧倒されます。参加者の皆さんがとにかく元気!居るだけで楽しい空間です。それだけでなく、酪農の学術的な情報や隣の農家の手法など幅広く情報収集でき、モチベーションアップと酪農の情報収集の両方が叶う場だと思います。地域でこのような会があることが酪農現場の活気につながっていくのだなと強く感じます。

 最後に、とてもパワフルな実行委員のお三方の写真をいただきました。来年も楽しみにしております!

PROFILE/ 筆者プロフィール

住野 麻子

住野 麻子Sumino Asako

北海号農業普及センター十勝南部支所で農業改良普及員として活躍中。
兵庫県神戸市生まれ。酪農に興味を持ち、大学進学を機に北海道へ。大学卒業後、十勝農業改良普及センターに就職。現在は酪農の面白さにはまり、牛漬けの日々を送っている。現場をより良くできる普及員となれるよう奮闘中。

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