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カナダに行ってきました! 【農場視察編】

JOURNAL 2025.07.25

寺内 宏光

寺内 宏光Hiromitsu Terauchi

 ラジオでも解説している、3月のカナダ渡航の報告です! 今回は農場視察の続きです。

◆寒さのせいでは子牛は病気にならない
 衝撃的なことに、気温−40℃近くまで下がる冬でも子牛は外ハッチでした。写真の牧場では、さすがに−35℃以下の吹雪になればFRP製ハッチにたっぷりの敷料と子牛2頭を入れて蓋を閉めるそうですが、基本的に生後3日まで室内飼養→4日目から外飼いです。和牛で同じことはできないにせよ、子牛もそれなりに寒さには強いのでしょう。

写真 離乳後のハッチ

 なぜ、カナダの子牛はここまで寒さに強いのか? 2点の仮説を考えました。
 一つ目は、初乳給与です。子牛管理の基本の「キ」、この外飼い農家では、生後4回目の哺乳まで初乳を給与し、しかも初回は「Brix値24以上」という非常に高品質な初乳を飲ませる徹底ぶりでした。つまり、分娩後の初乳を全頭Brix計測して(日本でも多くの牧場でBrix値を計測されています)、超高品質なものをパチャライズして冷凍保存、初回給与用に確保していました。

一般的な糖度計
※初乳の質(IgG量)をその場で簡便に推定する方法として、糖度計でのBrix値が用いられます。Brix値20%が良質、22%以上が理想とされています。

 二つ目は、乾乳管理です。週に10頭ずつまとめて乾乳にして、乾乳期をとおしてメンツを変えないことで群編成ストレスをなくしていました。過密を避け、乾物摂取量をしっかり確保していました。
 分娩前の管理と初乳管理の徹底が、強い子牛作りの基盤であることが再確認されました。

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PROFILE/ 筆者プロフィール

寺内 宏光

寺内 宏光Hiromitsu Terauchi

北海道にて酪農場勤務と㈱トータルハードマネジメントサービスでの修行を経て、2016年より栃木県にて家業の寺内動物病院を三代目として継承。より広く地域のニーズに応えるため2022年より法人化し、現在は獣医師4人在籍する㈱寺内動物病院の代表

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