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受胎率を意識した繁殖管理

JOURNAL 2024.12.11

田辺 雅人

田辺 雅人Masato Tanabe

 こんにちは! 今回は、私達の授精戦略についてお話しします。まろにえふぁーむでは、3年くらい前から経産牛への受精卵移植を積極的に取り組んでいます。

 授精中心から移植中心になって、繁殖管理の方針を「発情をたくさん見つけて授精する」から「少ない移植回数で確実に受胎させる」に変更しました。

 その理由は表のように、受胎率が子牛の生産コストに与える影響は、授精コストが上がるほど大きくなるからです。

 今は1万円の精液を使用してF1を生産しても、売値が10万円に満たなかったり、数万円する和牛受精卵から生まれた和牛子牛を2カ月哺育しても、30万円程度でしか売れないので、生産コストにはシビアにならなければいけないと思います。

 そのため、繁殖管理では妊娠率だけでなく、受胎率にも気を付けています。

 受胎率を上げるために、まろにえふぁーむでは「初回授精開始(VWP)の見直し」をしました。当時、VWPを50日に設定していましたが、初回授精受胎率は27%と低かったです。ただ、2回目以降の受胎率は40%を超えていたので、思い切ってVWPを70日にしたところ初回授精受胎率が40%まで改善しました。

 教科書的には「繁殖の改善は飼養管理の見直しから」となりますが、効果が出るまで時間がかかったり、施設の改修となると大きな費用がかかるので、こういった方法も効果を早く出すためには「あり」だと思います。

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PROFILE/ 筆者プロフィール

田辺 雅人

田辺 雅人Masato Tanabe

株式会社まろにえふぁーむ代表。
千葉県出身で妻の実家である別海町の農場に就農。
就農以降、積極的な牛の健康管理による経営向上に取り組み、全国トップクラスの良乳質乳を生産する。

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