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ロボット内給飼をせずに牛を搾乳ロボットへ誘う!? アメリカから最新情報をお届け
PICK UP
ー搾乳ロボット導入牧場運営における新たな給飼戦略ー
「ロボット内給飼なしでの搾乳ロボットの活用」
グローバル企業でもある私達デラバルが、他国で挑戦を行なっている「搾乳ロボットVMSでの給飼戦略の新しい方法」をお伝えします。
今回のテーマは「ロボット内給餌をせずに牛を搾乳ロボットへ誘う!」です。
INDEX ➖
飼料は、酪農経営において生産コストの約40%を占めます。
それだけに非常にインパクトがあり、興味を惹かれてしまう話題ですよね。
※今回の記事は、アメリカの酪農専門メディア「プログレッシブデイリー」に、デラバルアメリカで活動する自動搾乳製品担当者が寄稿した内容です。
コンスタントにVMS™に牛を入れ、いかにロボット本体の稼働率を上げ続けるか
これは、誰にとっても平等に「1日が24時間である」という不変の事実があるため、搾乳ロボット内での「給飼」は牛をロボットに向かわせるために欠かせない重要な要素です。
今回のお話は、「これまでの給飼戦略に、もう一つの方法が加わる」というイメージです。飼槽で与える飼料は従来の3種類(粗飼料、低濃度PMR、高濃度PMR)でしたが、TMRが加わることになりますね。
給飼戦略の多様性は、「新たな搾乳ロボットの活用方法の可能性を探る」ということにもなります。
これまでの自動搾乳は、搾乳ロボット内での給飼に依存していました。しかし、一部の生産者達は「本当にそうなのだろうか? もはや、そうではないかもしれない」という疑念を持つようになっています。
搾乳技術は過去数十年にわたって変化し、同時に給飼戦略も変貌を遂げてきました。自動化によって搾乳作業者にとっては、「搾乳ロボットでの給飼がシステムを高効率で回転させる=搾乳ロボット導入の成功にとって最も重要」と考えられていました。
しかし最近、一部の搾乳ロボットを導入している生産者は、このアプローチに疑問を持ち始めています。
これまでの牧場における給飼戦略
牛舎内で給飼する完全混合飼料(TMR)の導入により、従来の成分給飼と比較して、牛への給飼がより均一になりました。さらに、TMRにより、酪農家はこれまで以上に多様な飼料を利用できるようになり、牛に必要な栄養のニーズを一貫して満たすことが可能になりました。
過去、ロータリーやパーラーでの個別給飼は、搾乳中の牛の快適性を確保し、牛の飼料を補充する方法と考えられていました。ロータリーやパーラーで牛にエサを与えると、搾乳作業中に落ち着いて搾乳されていました。
しかし、実際には「牛は搾乳されること自体を好む」ことがわかり、この給飼方法は最終的に搾乳システム全体をよりシンプルかつ費用対効果の高いものにするために、徐々にその姿を消していきました。
そして今日、歴史は繰り返されています。
搾乳ロボットVMS™でロボットアームが搾乳作業を進めている間、牛が快適に過ごせるようにするためには、本当に搾乳ロボット内でエサを与える必要があるのでしょうか?
とある生産者の直感 ― 本当にロボット内給飼が必要??
アメリカ・カリフォルニアのあるストリックランド牧場の経営者・マット・ストリックランド氏と牛群アドバイザーのケリー・ハッチングス氏は、牛の行動に関する豊富な経験と自動搾乳システム全体に深い理解を持っています。
彼らは、それぞれの考えと経験から、牧場の栄養設計担当者と協力して、搾乳ロボット内から徐々に濃厚飼料を排除していきました。最終的に、彼らは「とある直感」を信じて「搾乳ロボット内での給飼をなくすこと」を決めました。
時間をかけること約2年間……
ストリックランド牧場は、8台の搾乳ロボットと500頭の牛を飼養する搾乳施設から濃厚飼料給飼を廃止しました。
しかし、驚くべきことに、搾乳開始数、不完全搾乳、搾乳ロボットへの訪問回数に大きな変化は見られず、乳量も増加しました。これは、搾乳ロボット内での給飼から転換する、という彼らの決断を正当化するものでした。
アメリカとカナダのほかの牧場では、搾乳ロボットで給飼しない新しい搾乳ロボット施設を稼働開始し、同様の成功を収めています。
これらの牧場は、濃厚飼料の購入コストの削減に加えて、搾乳ロボットの効率化を目指しています。従来の搾乳システムと同様に、TMRによって牛の栄養ニーズが完全に満たされます。
この給飼管理戦略を採用した生産者は、以下のメリットを実感しています。
【ロボット内給餌なしのメリット】
①追加の飼料原料在庫の管理が不要になる。
②牛群管理ソフトウェアシステムでの、複雑な給飼テーブルの使用が不要になる。
③生産者は、従来のパーラーで給飼しているのと同じTMRをロボット搾乳牛に均一に給飼できる。
④ロスとなる散らばった飼料で搾乳ロボットに引き寄せられ、大きな被害をもたらす可能性のある害獣(ネズミのようなげっ歯類)の減少が期待できる。
これらの牧場は、上記のメリットすべてに加え、牛が搾乳される静かな環境を提供することを目指していました。
誘導型レイアウトを導入した各牧場において、生産者は牛を搾乳ロボットへ向かわせる適切な訓練をすることで、待機場に入ってきた牛は飼槽に向かうことを発見しました。
最終的に、牛は最終目的地を知ったうえで搾乳ロボットを訪れました。搾乳ロボット内の飼料が牛をロボットに誘導するわけではなく、搾乳ロボットは、牛が目指す場所、つまり「飼槽のTMRに向かう途中の「停留所」に過ぎなかった」と言えます。
成功要因 – 単純に「ロボット内給飼をなくす」だけでは成り立たない
「搾乳ロボット内での給飼をなくす」というコンセプトは非常に興味深いものですが、効果的に実施するには「準備と覚悟」ももちろん必要です。牧場が考慮すべき主な点は次の通りです。
誘導型レイアウトの導入
牛が割り当てられた搾乳許可に基づいて搾乳ロボットに向かうように、牛舎をミルクファースト(アメリカではミルクファーストでのみ「搾乳ロボット内無給飼」の成功事例があるとのこと)として設計する必要があります。
セレクション(選別)ゲートは、牛が搾乳ロボットエリアに到着し、泌乳期と泌乳段階に基づいて適切なタイミングで搾乳されるために重要な役割を果たします。
牛のトレーニングプロトコルの設定
搾乳ロボット牛舎に新たに入ってくる牛(初産牛と、以前ロボットで給飼されていた牛)は、トレーニング対象牛にする必要があります。
これをプログラム化し、作業者は牛を待機場に連れていきます。その後、少なくとも1日に3~6回の搾乳作業を搾乳ロボットに通して行なうか、牛が自力でこのルーチンに慣れるまで行ないます。
慣れてからも、牛がゲートと牛舎内の動き方を理解していることを確認するために、さらに3~5日間は牛を注意深く観察する必要があります。
TMR(乳牛群向け)における飼料の品質
飼料品質はどの牛舎でも重要ですが、無給飼による搾乳ロボット運営においては、バランスの取れた栄養価の高いTMRを牛に提供することが不可欠です。
TMRは、牛が搾乳に向かうように促すために使用されます。牛の「飼料に辿り着きたい!」という欲求が、自発的に搾乳ロボットを通り抜け、その前に搾乳させる原動力となるのです。
―牧場運営方法は経営者の方針によってそれぞれ異なり、自動化された搾乳システムを自らと牛達のために活用していますー
なかには、数十年前のロータリーやパーラーでの牛の行動がそうであったように、搾乳ロボット内でエサを与えなくても、牛が適応することが判明した牧場もあります。まさに「常識を疑う」という視点を持って、挑戦を行った一例とも言えるでしょう。
そこで次に出てくる疑問は、「酪農家は今後、現状維持の経営戦略をどのように転換し変貌を遂げていくのか?」ということになるのではないでしょうか。
※今回の記事内容は、アメリカ・カナダでの事例です。日本とは異なる飼養管理方法や各種条件下など多様な要因での一つの事案です。デラバルはこの結果が、すべてのユーザーによって達成されると主張するものではなく、サービスやパフォーマンスを保証するものではありません。実際の個々のパフォーマンス及び改善は、搾乳方法、牛の種類、牧場及び牛群の維持管理方法など、多くの要因によって異なります。

※元記事は、以下のリンクよりご覧いただけます。
https://www.agproud.com/articles/60766-a-new-no-feed-strategy-for-robotic-dairies
筆者:Jason French VMS Solution Manager / DeLaval North America