言うまでもなく、今年もとても暑い夏でした。ニュースでは、「猛暑日が連続何日」とか、「熱中症警戒アラート発令」など、暑さをあおる報道が連日なされていました。さらに9月中旬以降の残暑は牛と人間に物凄いダメージを与えました。
暑さを示すTHIの特徴
暑さを表す指標として、THIという指標があります。温度、湿度からの数値から導きかれる数字は、酪農家の皆さんにとっては馴染みのある数字ではないでしょうか。農場でもTHIメーター(ストレスメーター)もよく見られるようになりました。また、ライブストックジャパン株式会社さんがリリースしている「ちくさん天気」というアプリをスマートフォンにダウンロードすると、農場がある地域でのTHIはどれくらいかを非常に簡単に知ることができるようになりました。(写真1)

写真1 アプリ「ちくさん天気」の画面。ネットで「ちくさん天気」と検索してみてください
THIと牛のストレスの関係性
さて、THIですが、65を上回ると牛はストレスを感じるということです。とある勉強会において講師の先生から「牛がストレスを感じるTHIは?」という質問で指さされ、「85」という素っ頓狂な回答をしてしまい、会場の空気が冷ややかになったので、この数字は深く記憶に刻みこまれました。
それはさておき、グラフを見てください(図1)。点線は渥美半島における過去3年間のTHIを平均したグラフです。実線は今年のTHIです。グラフを見てみると、渥美半島では5月からTHIは65を超えはじめ、牛がストレスを感じるようになります。65を切るのはこのグラフには出ていないのですが、だいたい10月中旬以降です。実に半年近く、牛はずっとストレスを感じているようです。
赤丸で囲っているところを見てみてください。今年は7月に大変高いTHIとなり、9月にも過去3年平均を軽く超えるTHIになっています。

図1 赤丸が7月と9月のTHI 今年も暑かった。とくに9月の上がりが牛に多大なダメージを与えた
緯度や標高が高い地域から渥美半島に帰ってくると、その空気の重さに毎回うんざりします。車に搭載されている温度計を見ながら運転すると、だいたい6℃くらい気温が変わります。気温の高さも嫌ですが、それよりも湿度の高さにぐったりします。
屋根散水や授精移植切を試みた今年の暑熱対策
弱音を吐いてばかりでは良くないので、今年も屋根散水(写真2、3)・牛に直接散水・ソーカーの使用・サイクロンの導入・授精より移植など、暑さに対してさまざまな抵抗を試みました。抵抗の結果、牛の死亡や廃用は以前と比べて少なくなったようですが、受胎はなかなか厳しい状況です。暑さに抵抗することを諦めず、温度と湿度をなんとかコントロールできるよう来年以降も酪農家さんとともに頑張っていこうと思います。

写真2 給水と排水に問題がなければ屋根散水は暑熱対策の有効な手段

写真3 屋根を裏から温度測定。水がかかっている場所は温度が15℃近く低い
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