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水本牧場ブログ4乾乳編「乾乳期間と飼養管理」

JOURNAL 2024.07.03

 こんにちは。 今回は乾乳期間と管理についてお話しします!

乾乳期間について

 現在の乾乳期間は、乳量が出ていても60日を切らないようにしています。乾乳前期でしっかり休憩してもらって、後期で分娩への準備を確保するためです。
 以前は従業員(牛)の休暇を確保するなら、 という考え方で1カ月6休(土曜日半休×4日で2日ぶん、日曜日は毎週お休み)×12カ月と計算し、72日以上を乾乳期間に当てていました(もちろん毎週休みというわけではなく、乾乳期間の計算のイメージです)。
 しかし今は乳量が増加しているため、60日を切らない程度にしています。

 私の農場では、50頭の繋ぎ牛舎をなるべく空けないように、常に搾乳頭数が確保されているように繁殖計画を立てています。分娩頭数を正確に管理し、余裕を持った繁殖サイクルを回しているため、在群牛で肢が悪い牛や治療歴がある牛は、日数に関係なく早めに乾乳に移行できるようにもしています。

乾乳前期を重要視

 酪農生産現場の常識として、分娩前の乾乳後期は言わずもがな、とても大切です。そのうえで私は、乾乳前期でのリセット、リフレッシュ期間をとくに大切にしています。

 乾乳前期を良い状態で迎えるには、泌乳期からの調整が必要になります。乳量がピークとなる分娩後90日から濃厚飼料給与量を計画的に減らし、乾乳にするときの乳量をしっかり落とした状態で乾乳にできるようにしています。ここで乳房の張りが長引かないようにして、ストレスを抑えることを心がけています。泌乳曲線をイメージすると、分娩後からしっかり乳量のトップを作って、その後は維持を目指さず乾乳に向けて真っ直ぐ落としています。

エサのコントロール

 飼料管理は、乾乳期でも濃厚飼料を切ることはしないで、冬時期の乾乳前期牛には蛋白系1kg、エネルギー系1kg、夏時期は放牧しているので、それぞれ0.5kg、0.5kgにしています。

 そこから乾乳後期の分娩1カ月前から蛋白系、エネルギー系を0.5kgずつ、体型や乳房の張りを見ながら増やしていき、分娩5日前には、バイパス系と合わせて夏は3kgまで、冬は4kgまで給与量を増やします。

 乾乳後期の濃厚飼料基本設定は、夏時期は蛋白系0.5kg、エネルギー系1.5kg、バイパス系1kg。冬時期はそれぞれ1kg、1.5kg、1.5kgです。

 この取り組みを始めたのは4年前くらいからで、なるべく腹を丸く作るように、バイパス系を増やして活用しています。自作のスコップで、細かく量を調整できるようにしています。乾乳後期は連スタを使って、盗食がないように間隔を空けて、個別対応しやすいようにしています。飲水は、言うまでもなく重要です。水槽の掃除、温度管理をしっかり行なっています。

 近年はゲノム評価選抜によって牛達の能力が上がっているので、能力を最大限に発揮させるためにエネルギーを重視した設定にしています。とにかく観察し、その牛の能力を考慮して、個別に量を変えています。毎月、毎年、実験・試験を繰り返して、牛達の進化に対応しています。

 また、そのほかの取り組みとして、生菌剤を使い胃腸の働きを良くして、牛達の健康度を底上げしています。最近はアミノ酸を使って、親牛の健康・乳量、子牛の強さ・大きさに好影響が出るように取り組んでいます。

 親牛と子牛、両方が良い状態で確保できるように観察し、柔軟な個別対応をしています。

 次回は、分娩時の対応を紹介します。

記事に対するご質問やご意見をお待ちしています!

PROFILE/ 筆者プロフィール

水本 康洋

水本 康洋

1983年、別海町の酪農家生まれ。
北海道立農業大学校卒で、帯広市の酪農ヘルパーを経て、実家に就農。
その後、実家を離れ、浜中町にて研修後、2016年4月に新規就農し、現在に至る。

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