
皆様、お仕事お疲れ様です。あかばね動物クリニックの宮島です。今回は搾乳手技については少しお休みして、今さらですが、酪農をサポートする者としての想いを書こうと思います。
酪農情勢は引き続き厳しい状況です。愛知県においても数軒の酪農家さんが離農します。離農する理由はさまざまで、年齢を重ねてきて体力的な面から離農される方もいます。
酪農は体力的に本当にしんどい仕事です。繋ぎ牛舎だと、立ったり座ったりしているうちに腰を痛め、膝も悪くしてしまします。前搾りを何十年もしていると、指も変形してきます。余談ですが、酪農家のお父さんの手って凄いですよね。ごついというかなんというか。その手に長年の営みを感じます。酪農家さんのごつい手を見ると感動すら覚えます。
酪農家さんをサポートするなかで強く思うのは、酪農を頑張って続けた皆さんにハッピーなリタイアをしてもらいたいということです。たとえヘルパーの日があるとしても、頭のどこかに自分の牛を思いながらずっと駆け続けた方々に、リタイア後も幸せになってほしいと心の底から思います。
ところが、昨今の酪農情勢がそれを許さないときがあります。お金を借りながらなんとか頑張っていても、経営的に厳しくなってしまうことがあります。エサ代、ミルク代、人件費の高騰がきついです。最近、とくにきついのは修繕費です。機械の複雑化、インフラを支える方々の給料の上昇など、さまざな理由で修繕費は高騰しています。
牛だけでなく、機械にも優しくしてあげましょう。雑な運転は乗り物を傷めます。油を挿すべきところはきちんと挿しましょう。自分でできるだけ修理できるようにしましょう。人を呼ぶことはそれだけでお金がかかりますから(獣医もですけど)。
リタイアした先輩達が「先生、この前旅行に行ってきたよ」とか「遠くに住む孫に会ってきたよ」とか笑顔で話せる、そんな状況になることを強く望みます。
先日、数年前に離農された酪農家さんの奥さんが亡くなりました。その方の酪農人生の本当に最終章のほうでしか一緒に仕事ができなかったのですが、自分のことを本当に信頼してくれました。「先生が授精するとよく受胎するね」「クリニックで治療してもらうとよく治るね」……本当にたくさんの優しい言葉をいただきました。今でもその声が脳裏に焼き付いています。検診が終わった後にお茶を飲みながら、たくさんお話しをしました。
その酪農家さんに限らず、酪農家さんをサポートしているつもりが、いつの間に自分のほうが励まされたことは数えきれません。自分の心が病みそうになったとき、いつも救ってくれるのは酪農家さんとの語らいです。今まで受けてきたたくさんの恩を忘れず、酪農という世界に少しでも恩を返せるよう、これからも頑張ろうと改めて思った3月でした。
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PROFILE/ 筆者プロフィール

宮島 吉範Yoshinori Miyajima
千葉県の一般家庭に生まれる。麻布大学 栄養学研究室を卒業後(有)あかばね動物クリニックに入社し獣医師として25年。現在は、乳牛・肥育牛(主に交雑種)・繁殖和牛を担当する。乳牛においては診療・繁殖検診・搾乳立会・人工授精・受精卵移植・コンサルティングなどを行なう。趣味は妻との居酒屋や蕎麦屋巡り。