及川 伸(酪農学園大学 ハードヘルス学教室・教授)
酪農学園大学 ハードヘルス学教室の及川伸教授に「ボディコンディション・スコア(BCS)」の見方について解説いただきました。
何かとなじみ深いBCSですが、改めて「BCSってどういうもの?」「どうやって見るの?」について解説いただきました。
まずは映像をご覧ください。
BCSはとても便利な栄養状態の指標
牛の栄養状態を管理するためには、BCSのモニタリングが非常に重要です。BCSは、牛の脂肪蓄積量を評価し、栄養状態を把握するための指標です。スコアは1から5までの5段階に分かれており、1は極端に痩せている状態、5は極端に肥っている状態を示します。乳牛では大半の牛が2.5~から4の間に分布しているため、その範囲でスコア評価をします。
BCSの基本的な評価方法
BCSの評価は、腰の形がV字型かU字型かを確認することから始まります。V字型の場合、BCSは3.0以下、U字型の場合は3.25以上と評価されます。また、腰や座骨の脂肪の状態を触って確認することで、さらに詳細なスコアリングに進みます。
詳細なスコアリングの手順
例えばV字型の場合、腰角と座骨の両方に脂肪がある場合は3.0、腰には脂肪がなく座骨には脂肪がある場合は2.75、座骨に若干の脂肪が残っている場合は2.5、両方に脂肪がない場合は2.5未満と評価されます。これらは触って判断します。
一方U字型の場合、牛の真後ろから仙骨靭帯と尾骨靭帯を見て評価します。両方とも見える場合は3.25、仙骨靭帯が見えるが鼻骨靭帯が見ない場合は3.75、両方見えない場合は4.0などというように判断します。
モニタリングの重要性
BCSは、牛の健康状態を維持するために重要なモニタリング方法です。BCSは、約4週間前の栄養管理の状態を表す指標として用いられます。定期的に同じ人が同じ農場で評価を行ない、その変化を追跡することで牛の栄養状態を正確に把握し、適切な管理を行なうことができます。
BCSの評価は簡単でコストもかからないため、導入しやすいモニタリング項目となっています。定期的なモニタリングを行なうことで牛の健康を維持し、生産性向上につなげることができます。
PROFILE/ 筆者プロフィール
前田 真之介Shinnosuke Maeda
Dairy Japan編集部・北海道駐在。北海道内の魅力的な人・場所・牛・取り組みを求めて取材し、皆さんが前向きになれる情報共有をするべく活動しています。
取材の道中に美味しいアイスと絶景を探すのが好きです。
趣味はものづくりと外遊び。