こんにちは!先月心配していたドカ雪ですが、3月4~5日にしっかりと降り、除雪で体中が筋肉痛になりました。大変な思いをしましたが、やっと雪が降り、少しほっとしております。
さて今回のテーマは、「暑熱対策における換気」です(第一回でも換気について取り上げているのでぜひご覧ください!)。換気は、暑熱の有無に関わらず牛の生産性に直結する重要な項目ですが、暑熱対策の観点から見ても優先度が高く、+αの取り組み(ミストや送風など)を効率良く運用するためにも必要なものです。
換気の現状調査をしました
今後、もっと暑くなっていくであろう北海道の夏を乗り切るため、全ての基礎となる「換気」を今一度見直す取り組みを担当地域で始めます。具体的には、牛舎の現状をCO₂濃度などのデータから評価したうえで、農場に合わせた換気の改善方法を提案・相談する予定です。
今回は、その取り組みの前段として、道内のつなぎ牛舎を中心に換気改善の事例調査を行なったので、その内容を皆様と共有できればと思います。調査を行なった農場は、担当地域よりも北に位置しますが、盆地で比較的気温が高く、担当地域並み~やや暑い場所です。視察農場含め、換気の意識が非常に高い地域であると共に、遺伝改良も進んでおり、乳量・乳成分ともにハイレベルでした。
道内の事例調査〜つなぎ牛舎編〜
①設計段階から換気を意識した牛舎、②後付けで排気ファンを設置した牛舎の2事例を紹介します。
- A牧場:設計段階から換気を意識した牛舎

この牛舎は、換気を設計段階から意識しており、入気と排気がきちんと計算された牛舎になっています。ポイントは、牛舎の換気方法を「トンネル換気」とはっきり決め、トンネル換気の原則をきっちり守り設計されている点です。この牛群では、8月でも乳量が43kg/日/頭、乳脂肪が4.7%と高く、採食量が落ちていないことがわかります。なによりも、牧場主の方が「暑熱っていうけど、うちは乳量落ちないからな……」と言われていたことが印象的で、暑さの影響をほぼ感じていないのだなと実感しました。
B牧場:後付けで排気ファンを設置した牛舎

B牧場の牛舎イメージ図
この牛舎では、古いキング式牛舎を改造し、排気ファンを設置した事例です。改造にあたり、大きく2点の工夫がされていました。
- 2階の床を抜いて排気ファンを設置
排気ファンを設置するにあたり、牛舎奥約2mの2階部分を抜き、排気ファンの設置スペースを確保していました。
- 側面からも入気口を確保
トンネル換気の場合、側面の窓などはきっちり閉め、余計な空気が抜ける・入ることが無いよう管理することが鉄則です。しかし、この牛舎では、処理室の位置関係から、入気口をまっすぐかつ十分に確保することが難しかったため、側面の窓も開放し、不足分の入気口を確保しているとのことでした。原則とは少し離れますが、既存の牛舎でできる最大限のことを模索した結果とのことです。
こちらの牛群では、換気の改善を行ったことで、暑熱の影響が強く出る7~9月でも約3kg/日/頭の乳量減少に留めているとのことでした。
「換気」は「暑熱」にも効くのではないか
今回、換気について設計段階から意識した牛舎と既存の牛舎を改造した事例を見て、「換気」について着目することで、どちらにおいても暑熱の影響を抑制する効果があるのだと実感しました。一方で、夏場の乳量の落ち具合には違いがあり、牛舎設計段階から換気を重視する必要性も感じました。自分の牛舎をどうするか、どこにお金をかけるかの判断は当然ながら農家さんが決めることです。今後始まる取り組みに向けて、一つでも多くの選択肢が提案できるよう情報を集めていきたいと思います。
PROFILE/ 筆者プロフィール
住野 麻子Sumino Asako
十勝農業改良普及センター十勝南部支所で農業改良普及員として活躍中。
兵庫県神戸市生まれ。酪農に興味を持ち、大学進学を機に北海道へ。大学卒業後、十勝農業改良普及センターに就職。現在は酪農の面白さにはまり、牛漬けの日々を送っている。現場をより良くできる普及員となれるよう奮闘中。




