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搾乳ロボットを成功に導く〜搾乳ロボットユーザーが夏場に気をつけることは?

PICK UP 2025.07.02

こんにちは! 搾乳ロボットや牛群管理ソフトウェアを中心とした牧場全体の管理についてアドバイスを行なっている、デラバル株式会社のアドバイザリー担当です。

 今回は本格的な夏を迎える前に、夏場の乳量低下でお悩みの搾乳ロボットユーザーの皆様に向けて、暑熱ストレスへの対処法をご紹介します。

1.牛が感じる暑熱ストレスとは?

 暑熱ストレスとは、牛が暑さや湿気によって体に大きな負担を感じている状態を指します。牛にとって快適な温度は、一般的に-20℃から+20~25℃程度と言われています。

牛舎内の温度がこの範囲を超えると、牛は暑熱ストレスを感じ始め、呼吸が荒くなったり、横臥せず立ったまま過ごす個体が増えたりします。

とくに、弊社のVMS™をはじめとする自動搾乳システムは、牛が自ら搾乳ロボットを訪問することが前提となるため、暑熱ストレスによって行動が鈍くなると、生産性にもすぐに影響が出てしまいます。そのため、私達も夏場の牧場訪問では、牛の状態に関する項目をいつも以上に注意深くチェックするようにしています。

2.搾乳ロボット牛舎における暑熱対策

 ここからは、搾乳ロボット牛舎で実践できる基本的な暑熱対策をご紹介します。ぜひ実践できる範囲で取り組んでいただければと思います。

●牛の体感温度を下げる

 牛の体に風を当てるだけで、かなりの暑熱対策になります。
 風があると人間も涼しく感じるように、牛も体感温度が下がって快適になります。具体的には、以下の要件を満たしているのが理想です。
・風速:2m/s以上
・牛の高さ(約1〜1.5m)の風

● 牛舎内の空気の流れを考える

 牛舎内の空気が澱んでしまうと、熱がこもりやすくなります。
 牛が過ごしやすいように、空気の通り道を見直してみましょう。

・入気(牛舎外から空気を入れる)と排気(牛舎中の空気を出す)のバランスを再度確認する
・壁や機材など、風をさえぎる障害物をできるだけ減らす

 搾乳ロボット牛舎においては、搾乳ロボットそのものが風通りを遮るケースがあります。 
 これによって、搾乳ロボット周辺の風の流れが悪くなり、牛に「搾乳ロボット周辺は暑くて不快な場所」と記憶され、搾乳回数の減少に繋がることも考えられます。

 これから搾乳ロボット導入を検討されている方は、こういった点もレイアウト計画時に専門家とご相談されることをおすすめします。

●空気を冷やす 

 風を通すだけでなく、「空気そのものを冷やす工夫」をすることで、牛の体温上昇を抑えることもできます。

・屋根の断熱材やドライフォグ装置(霧状の水で空気を冷やす)
・直射日光の遮蔽
・屋根への散水

● 牛体を直接冷やす

 直接牛の体を冷やすこともとても有効です。体の表面温度が下がると、ストレスが軽減され、搾乳ロボット訪問回数の維持にもつながります。

・ソーカー(牛の体に水をかける装置)の導入
・牛体の毛刈りやブラシの使用・・・体表面の汚れを落とすと放熱しやすくなります
・過密飼育を避ける・・・牛同士の間隔を保つことで、ストレスや熱のこもりを軽減します
・最近では、搾乳ロボット内にソーカーを設置されるユーザー様も増えてきています


※ソーカーの注意点:乳房が水で濡れると、疾病のリスクが高まることがあります。搾乳ロボットを使用する場合、搾乳清拭に人の目が届きにくいため、その影響はより深刻になるものと考えます。適切な機器を選択し、機器の取扱いにも注意を払うようにしましょう。

●飲水環境を整える

 水の摂取量は生乳生産に直結します。例えば、水の摂取量が40%減少すると、牛乳生産量は25%も減少することが分かっています。このため、以下の要件を満たすような工夫をしてみましょう。
・常に清潔な水を用意する
・飲みやすい環境づくり
 ☑︎高さ床から60 – 80 cm 、深さ15 – 30 cm、広くて静かな液面
 ☑︎1頭当たり10cm以上の飲水スペース(合計で頭数×10cm以上)
 ☑︎1グループで2カ所以上、6〜7頭が同時に飲める、飼槽から15m以内が理想

まとめ

 夏場は普段以上に牛の快適性を考えることが、乳量維持のために最も重要な視点になります。暑熱対策は先行投資。その結果は半年後から1年後に戻ってくる、そんな長期的な視点を持つことも大切です。年々、酷暑に悩まされることが多くなってきました。改めて暑熱ストレスによる夏場の生産性への影響を考慮した工夫や対策に取り組んでみてはいかがでしょうか。

PROFILE/ 企業プロフィール

デラバル株式会社

デラバル株式会社

創立から140年を超えた歴史ある酪農関連機器メーカーです。スウェーデンに本社を構え、持続可能な酪農業と食料生産への貢献を目指し、搾乳ロボットVMS™V300をはじめとする環境負荷への影響に配慮した製品開発と提案、アフターサービスを提供しています。

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