
暑い地域に住んでいるわれわれにとって、暑熱対策は非常に重要な課題です。情報を求め3月に東京で開催された、北里大学動物飼育管理学研究室と雪印メグミルク(株)酪農総合研究所共催による「酪農暑熱対策セミナー」に参加してきました。
そのなかで、北里大学の鍋西久先生が「近年の暑熱環境は家畜の生産性にどう影響しているか–異常な暑さが通常になる時に備えて」について講演されました。自分は鍋西先生のファンなので、先生が講演される機会があればなるべく積極的に参加しています。
「暑熱対策を考える際にまず牛舎に日差しが入らないようにすること」「繁殖成績を向上するためには受精卵移植がやはり有利なこと」「乳量や受胎率の低下を防ぐために意識するべきは1日における最低THIであること」など、暑熱対策に対する情報がてんこ盛りでした。その情報をもとに、今年は少しでも暑さに打ち勝てるよう頑張ろうと思いました。
そのセミナーにおいて、明日からでもすぐできることとして、送風機の掃除があげられていました。皆さんの送風機や換気扇の羽根部分は綺麗ですか? 牛舎の積年のホコリが積みあがっていませんか? 掃除することで電気代を節約することができます。鍋西先生の調査では、ガンガンに送風機を回転させる夏において、掃除により約15%の電気代節約につながるとのことでした。昨今の資材高騰のおり、掃除でコストが節約できるなら、やらない手はありません。
そのセミナーには地元の酪農家さんも参加していて、早速掃除を始めてくれていました。
写真を見てもらうとわかるように、掃除する前のホコリや汚れは相当なものです。それをブラシで掃除すると、「こんなにも綺麗になるのか」と驚きました。ホコリで重くなった羽根を回すのには余分な電気代がかかるなと実感することができました。これで良い風を牛に送れそうです。
毎日のお仕事は忙しいとは思いますが、夏前にぜひ、日差しが入る場所の日除け、そして送風機のお掃除をしてみましょう。

写真1、掃除前の送風機。羽根のホコリが重そうで、モーターの部分にもホコリがたくさんで、電気代に悪い影響を及ぼしそうです

写真2、掃除後のすっきりとした送風機。こんなにも綺麗になるのかとびっくり!
PROFILE/ 筆者プロフィール

宮島 吉範Yoshinori Miyajima
千葉県の一般家庭に生まれる。麻布大学 栄養学研究室を卒業後(有)あかばね動物クリニックに入社し獣医師として25年。現在は、乳牛・肥育牛(主に交雑種)・繁殖和牛を担当する。乳牛においては診療・繁殖検診・搾乳立会・人工授精・受精卵移植・コンサルティングなどを行なう。趣味は妻との居酒屋や蕎麦屋巡り。