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水本牧場ブログ14:身近なところから取り組める暑熱、寒冷対策

JOURNAL 2025.01.06

 前回のブログでご紹介したように、私の実家の農場では、さまざまな施設を作ったり直したりしてきたので、私もそのノウハウが見についていました。そして私の牛舎でも、その技術を使っていろいろと製作してきました。今回は暑熱対策と寒冷対策に焦点を当てて紹介したいと思います。

暑熱対策その1:換気送風ファンの直進力を上げる

 私は居抜きの農場で新規就農しており、搾乳牛舎は繋ぎ牛舎です。建物の妻側から空気を取り込んでいます。牛舎内に取り込む風の直進性を高めるために、ファンに筒を取りつけてみました。

 これにより、牛舎内で牛のいるエリアにより集中的に風を送れるようになり、換気効率が上がりました。実際に風を感じてみると、筒の有無で風力が大きく変わりました。
 取りつけた筒は、使い終わったタンクを切って取りつけたので、材料費はほとんどかからずに取りつけられました。

暑熱対策その2:牛に風を当てる小型ファン

 牛の冷却を目的に、ベッドの間にもファンを取りつけました。牛のいる方向に向けて取りつけています。このファンも、廃用品を改造して設置しましたので材料費はあまりかかっていませんが、この夏の効果はあったように思います。

寒冷対策その1:つけ外しが簡単な子牛のカーテン

 子牛ハッチはこのような形になっているのですが、換気は良いものの寒さが気になるときがあります。そこで簡単に冷気をシャットアウトする方法がないか考え、プラダンをカットし、磁石を取りつけたものを作りました。

これにより、気になるタイミングでサッと取りつけることができます。軽くて扱いやすく、妻が作業しやすいことを考えました。
 ちなみに1枚目の画像の哺乳ボトルを入れているホルダーも自作です。

暑熱兼寒冷対策:扉のパネルを入れ替えて直射日光と底冷えを対策

 以前から牛舎の扉から直射日光が入ってくることが気になっていました。扉の上部が透明で、下部がトタンなのですが、夏場は太陽光が直接入り、気温が上がりやすくなっていました。

そこで、扉のパネルを上下入れ替えてみました。

 半分だけやってみましたが、取り込まれる光の量が抑えられ、効果を実感しました。また、下部が透明になったので、冬場の底冷え対策としても良かったです。光を上手く使うことができれば、温度管理がしやすくなります。

今おすすめの牛舎は?

 このように、古い牛舎を利用して自分でいろいろと製作して営農していると、美化されたり称賛されたりしてしまいますが、私個人としては新築の牛舎を建てることをお勧めしています。
 作業性や、その後の経営を考えると、長く酪農を続けるうえでは、新築で建てたほうが効率的です。実際に私も就農開始前には、新築を建てることを交渉していました。

 個人的には、今お勧めするのは、哺乳・育成・乾乳・搾乳の全てのステージの牛達が一緒に管理できるオールインワンのフリーストール牛舎です。搾乳は、ロボットではなく、パーラーが良いと思っています。
 パーラーは決まった時間で搾乳や飼養管理などの作業ができるので、牛達にとっても、作業者にとっても効率的だと考えます。また私見ですが、牛は本来は群で活動する動物で、「共感性」が高いので、ロボットのように個を尊重する管理より、群での一体感を持った管理のほうが良いのではないかと感じています。この考えは私個人の意見です。
 賛否はあると思いますが、未来に向けて営農を進めていくには新築牛舎を建てる選択ができる環境になれば良いと思っています。酪農業界の未来を考えると、新築牛舎が増えることが、業界が明るくなることに繋がると考えます。
 またこれらのことに関しては、いろいろな人達で活発な議論が行なえるようになればと良いと思います。

 次回は、ちょっとしたアイデア、節約術を紹介します。

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PROFILE/ 筆者プロフィール

水本 康洋

水本 康洋

1983年、別海町の酪農家生まれ。
北海道立農業大学校卒で、帯広市の酪農ヘルパーを経て、実家に就農。
その後、実家を離れ、浜中町にて研修後、2016年4月に新規就農し、現在に至る。

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