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平均搾乳回数3回は多すぎる?搾乳ロボットにおける搾乳回数の考え方のコツ
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こんにちは!搾乳ロボットや牛群管理ソフトウェアを中心とした牧場全体の管理についてアドバイスを行っている、デラバル株式会社のアドバイザリー担当です。
皆さん、搾乳ロボットを導入すると「固定された搾乳時間から解放されたぶん、せっかくだからたくさん搾りたい」という気持ちになりますよね。実際、搾乳ロボットでは、それぞれの牛に合った搾乳回数を考えることが重要になります。
そこで今回は、1日の搾乳ロボットの平均搾乳回数をご紹介します。搾乳回数を上手に調整することで、ロボット1台あたりで管理できる頭数や、1日あたりの総乳量を最大限に高めることが期待できます。
INDEX ➖
平均搾乳回数とは?
平均搾乳回数とは、簡単に言うと、「牛1頭が1日に何回搾乳されたかの平均値」です。搾乳ロボットでの搾乳は、基本的に牛が自発的に訪問し搾乳されるため、それぞれの搾乳回数が異なります。
1日4回搾乳される牛もいれば、2回しか搾乳されない牛もいます。
そこで、牧場全体で1頭当たりどれくらい搾乳しているのか?を把握するために、平均搾乳回数を参考にします。
この平均搾乳回数は、牛群のパフォーマンスを向上するときに非常に役立つ指標になります。

平均搾乳回数と泌乳ステージ
「平均搾乳回数は少ないよりも多いほうが良い」という考えが基本です。しかし、全ての牛に対して常に多回数が良いというわけではなく、牛の状態や泌乳ステージによって調整することを推奨しています。
とくに、搾乳ロボットの処理能力を最大化させる場合、以下の点が重要だと考えています。
泌乳初期牛:平均搾乳回数3回以上を目指す
乳量が他の泌乳ステージよりも増える時期のため、1日3回以上の搾乳が理想です。この期間に十分な搾乳回数を確保することで、ピーク乳量の増加が期待できます。
泌乳中期~後期:1搾乳あたりの乳量をもとに、搾乳回数を”整える”
ピーク乳量を過ぎると、自然と落ち着いてきます。このステージでは、搾乳1回あたりの乳量が変動しないように搾乳のタイミングを調整していくことが大切です。
その結果として、1日2回程度の搾乳に自然と落ち着くケースが多くみられます。

※泌乳初期牛の定義
本記事では泌乳初期牛を分娩後~搾乳日数100日以内の牛と定義します。
平均搾乳回数の最適化
1頭あたりの搾乳回数を理想的な状態に近づけるには、ちょっとした工夫や搾乳ロボットの設定の見直しが大切です。
今回はその中でも、搾乳ロボットの設定と牛のトレーニングについてご紹介します。
● 牛群に合った機器設定をする
牛はそれぞれの行動パターンや泌乳ステージによって、搾乳ロボットへの訪問頻度が異なります。
そこで、以下のような設定を見直すことで、より理想に近い搾乳回数を達成するための下地をつくることができます。
- 搾乳許可の設定・・・泌乳初期の牛には、より短い間隔で搾乳できるように設定します。逆に乳量が落ち着いてきた後期の牛には、搾乳回数が少なくなるよう設定することが通常です。
- フィードテーブルの設定・・・搾乳ロボットで出てくる濃厚飼料の量や種類を個体ごとに調整し、訪問頻度の最適化を目指します。特に、泌乳初期牛に対しては給与する濃厚飼料量を増加させ、ロボット訪問を促すのが一般的です。

● 導入牛にトレーニングを実施する
初めてロボットを経験する牛にとって、搾乳ロボットは何をされるかわからない怖い場所です。
そんな牛を嫌がらせないために、丁寧なトレーニングが重要になります。
トレーニングの方法は、基本的に対象牛を搾乳ロボットに連れてきて、入居から退出までのプロセスを人がサポートする形が基本です。
また、誘導型トラフィックの場合は、ゲート通過のトレーニングもあわせて行なうようにします。
実際の牧場では、最初の2日間、3回にわたり少しずつ、徐々に牛に慣れてもらう作業を行っているケースもありますが、それぞれの牧場ができる範囲で手をかけることが大切です。
さらに、トレーニングの際に、他の牛がロボットで搾乳される様子を見せることで、「安全な場所である」と理解させる手法も効果的です。
● 搾乳牛舎以外での事前トレーニングも効果的
搾乳ロボットや搾乳牛舎に慣れてもらうためには、前段階から少しずつ慣らしておくことも有効です。
例えば以下のような方法があります。
- 育成舎や乾乳舎に給餌設備を導入して、機械から美味しいエサが出てくることを学習させる
- 乾乳舎に通行制御ゲートを設置し、ゲートの通過を経験させる(※搾乳牛舎が誘導型トラフィックの場合)
- 初産牛は刺激に慣れさせるために、スプレーやディッピングなどで何かが乳頭に触れる感覚に慣れさせる
海外では、ロボットの入替をする場合、古い搾乳ロボットを乾乳舎に移設して、トレーニング用に活用している牧場もあるそうです。

まとめ:搾乳ロボット1台当たりのパフォーマンス
搾乳ロボットにおける平均搾乳回数は、乳量や効率を左右する重要な指標です。
特に、泌乳ステージに応じた搾乳ロボットの設定や、牛の早期順応に向けた丁寧なトレーニングは、その後のパフォーマンスへ大きな影響を与えます。搾乳ロボット1台当たりの生産性を高めることは、投資対効果を酪農経営上判断するために重要です。ぜひ、この記事を参考にしていただけたら幸いです。
