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水本牧場ブログ9 初乳給与-実践

JOURNAL 2024.10.04

こんにちは!

今回はうちの農場での初乳給与に関わる管理を紹介します。

 うちでは、90%以上の子牛が自然分娩で生まれます。産まれてくる子牛を発見するのが分娩前、分娩後どちらだったとしても母牛にしっかり舐めてもらい、自力で立ち上がるようになってからハッチに移動することが多いです。そのため移動までに1時間以上は経過していることがほとんどです。
 それから母牛を搾乳牛舎に移動してから搾乳し、初乳を給与するので、実際に初乳給与するまでには2時間以上経過していることが多いです。

 初乳給与は、なるべく早く行なうと良いという話を聞くことがありますが、6時間以内に給与すれば良いと考え、慌てずに、母牛の乳房が搾乳できるような張りになってから搾乳し、子牛は初乳を消化・吸収できる準備が整ってから、初乳を給与しています。

子牛がしっかり吸収できているか?

 初乳給与で最重要なのは、「子牛が初乳の消化吸収がスムーズにできるか」です。それには子牛が「強くて元気な子牛」でなければなりません。「強くて元気な子牛」を作るには、乾乳管理が重要です。

 胎子期のうちから、生まれてくる子牛が活躍する未来に投資をするという意識で、乾乳管理を行なうと良いと思います。

 実際の作業としては、搾乳はPL検査をして乳房炎の有無を確認します。うちでは、乳房炎が頻繁に起きることはないですが、乳房炎の場合はその乳房以外を搾乳して、初乳として給与します。搾乳後の初乳を糖度計で計り、糖度が30度以上あって、乳量が多ければ、冷凍初乳ぶんも取っておきます。

 うちでは、子牛が自力で飲むケースがほとんどなので、飲めるだけ飲ませています。だいたい3~5Lです。このときに、あまり飲まない子牛には時間を空けながら何回か飲ませて3Lは飲ませるようにしています。

愛情と根気を強く持って

 うちの農場では、初乳の給与は妻が担当しています。

 大切なのは、愛情深く根気強く初乳給与を行なうことだと、妻を見ていると感じます。妻が妥協しないで、子牛達の未来を想って作業しているので、IgGの数値も高いものが出ているのだと思います。

 妻が作業しやすいように、初乳をしっかり飲める子牛作りを心がけて、乾乳管理を行なっています。

 初乳給与の際、自力で飲むことができない子牛に強制哺乳をするときは、1回に多く与えないで、1~1.5Lを1~2時間おきに、2~3回給与するのが良いと思います。

 胃腸を動かし、確実に消化・吸収できるようにして、IgGの数値を高めることを目指してほしいと思います。

 初乳給与は、子牛の未来の健康を考えるうえで、最重要な項目です。

「強く元気な牛」を作る、最初の作業なので、愛情深く、根気強く、取り組んでほしいと思います。

PROFILE/ 筆者プロフィール

水本 康洋

水本 康洋

1983年、別海町の酪農家生まれ。
北海道立農業大学校卒で、帯広市の酪農ヘルパーを経て、実家に就農。
その後、実家を離れ、浜中町にて研修後、2016年4月に新規就農し、現在に至る。

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