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牛の移行期管理とは? 採食量・受胎率を改善する管理ポイントを解説

JOURNAL 2026.09.15

Dairy Japan編集部

Dairy Japan編集部Dairy Japan Editorial Department

牛の移行期管理とは? 採食量・受胎率を改善する管理ポイントを解説

 「分娩後の疾病を減らしたい」「受胎率を安定させたい」等の課題を抱える酪農現場にとって重要になるのが移行期管理です。移行期は分娩前後3週間を指し、乾乳牛から搾乳牛へ移ることで、牛の体には大きな変化が起こります。管理がうまくいかなければ、周産期疾病やその後の乳量、繁殖成績にも影響する可能性があります。

 この記事では、移行期管理で確認したい死亡割合・受胎率を中心に、繁殖管理や採食量、飼料管理のポイントを紹介します。

 『作業ごとのハズせない管理のポイント「Dairy Japan 2026年9月号」』執筆:大久保宏平氏(株式会社ノースベッツ・獣医師)より内容を要約。
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牛の移行期管理とは?

 移行期とは、一般的に分娩前後3週間の期間を指します。この時期は分娩により生理状態や飼養管理が大きく変化するため、牛群管理のなかでも特に高い管理レベルが求められます。

 移行期の状態は分娩直後だけでなく、その後の乳量や繁殖成績にも影響します。そのため、分娩を無事に終えたかだけではなく、その後の状態まで含めて評価することが大切です。

移行期管理で確認したい2つのポイント

 移行期管理を評価する指標は農場によって異なりますが、一つの考え方として確認したいのが死亡割合と受胎率です。この2つを確認しながら、繁殖管理や採食量などに問題がないかを振り返ります。

死廃リスクを抑えるために分娩前から管理する

死廃リスクを抑えるために分娩前から管理する

 移行期の死亡割合には飼養管理だけでなく、産次や乳量、分娩間隔等、牛側の要因も関係します。実際の農場データでは、分娩後30日以内に死廃となった牛は、生存牛と比較して分娩間隔が長い傾向が確認されました。

 分娩間隔が長くなると、泌乳後期から乾乳期にかけて過肥になりやすく、皮下脂肪や内臓脂肪の蓄積によって周産期疾病のリスクが高まります。

 長期空胎が必ずしも死亡の直接的な原因になるわけではありませんが、「この牛をどこまで繁殖対象として牛群に残すのか」という判断も大切です。

 安全に次の分娩を迎えられるかという視点を持ち、繁殖対象牛を考えることが移行期管理のポイントになります。

受胎率を高めるには採食量の確保が重要

受胎率を高めるには採食量の確保が重要

 繁殖対象牛を厳選するためには、安定した受胎率の確保が欠かせません。そのために注目したいのが、牛の採食量です。27農場の乳検データを用いた分析では、分娩後60日以内の牛についてデノボFAと受胎率との関係が確認されました。

 デノボFAは乳脂肪を構成する脂肪酸で、粗飼料由来であることから、一般的に採食量の指標として活用されています。データからは、デノボFAが高い農場では受胎率が高く、初回授精受胎率も高まる傾向が確認されました。

 デノボFAは、採食量や移行期の状態を評価する指標として活用できる可能性があります。採食量(乾物摂取量:DMI)が低下していないか、搾乳データや繁殖データ等を活用しながら継続的にモニタリングしましょう。

サイレージの二次発酵にも注意する

サイレージの二次発酵にも注意する

 採食量を左右する要因の一つが、飼料の発酵品質です。
実際の農場事例では、二次発酵によって発熱したグラスサイレージは、発熱していないものと比較してTDNが7ポイント低下していました。

 さらに、サンプリングから数日後には給飼量の低下も確認されています。二次発酵したサイレージは、発酵によるエネルギー損失だけでなく、嗜好性の低下を介してDMIの減少を招くことが知られています。DMIを十分に確保できず、負のエネルギーバランスに陥りやすい移行期牛では大きな問題となります。

 そのため、サイレージの貯蔵管理や二次発酵の防止など、発酵品質を維持する取り組みも移行期牛の健康維持と生産性向上につながります。

移行期管理は基本の積み重ねが重要

 農場によって移行期に抱える課題は異なります。また、移行期の問題は移行期だけで解決できるものではありません。繁殖管理によってリスクの低い牛群を作り、移行期の採食量をモニタリングしながら、その制限要因を確認していくと良いでしょう。

まずは、

  • 繁殖管理に問題はないか?
  • 牛は十分に採食できているか?
  • 粗飼料の品質は保たれているか?
  • 牛の状態を継続的にモニタリングできているか?

の基本から、自農場の移行期管理を振り返ってみましょう。

 新しい技術や評価指標が増えても、牛が十分に採食できる環境を整え、良質な粗飼料を給与し、牛の状態を継続的に確認するといった基本の重要性は変わりません。

▼詳しい実践方法は『Dairy Japan2026年9月号』に掲載しています。
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