こんにちは! 今年の十勝は雪が少なく、いつドカ雪が来るかとヒヤヒヤしています。今年は年明けから全国的に大雪が続いているので、できるだけ被害が少ないよう願うばかりですし、人ごとでは無いなと感じる日々です。
今年の草地、どう計画する?
さて、近頃の農家さんとの話で多いのが「今年の草地をどうするか」という話題です。前々回でも牧草地の話題を取り上げましたが、昨年の猛暑によるチモシーの夏枯れを受け、「牧草地の管理について、今一度考える時期になった」と、農家さんと関係機関含め危機感が強まっているように感じます。
昨年は、チモシーの環境変化に弱い部分が顕著に見られ、南十勝でも2番草の収量が激減するなど影響が見られました。
このダメーシをそのままにしておくと、収量の大幅な減少や裸地に侵入した雑草の繁茂が発生し、粗飼料の不足・品質低下につながります。また、変化する環境に対応する手法を考えなければ、同じことが繰り返される恐れがあります。


そのため、対策としてチモシーから環境ストレスに強いオーチャードグラスへの草種転換を地域で検討しています。
検討を行うなかで、普及センターとしてはオーチャードグラスの特徴を整理することや、それをまとめた技術資料の作成などの情報発信と、地区別懇談会などを通して農家さんと課題の整理をする取り組みを行なっています。
私は、地区別に農家さんと検討を行なう地区別懇談会に初めて参加しましたが、1対1でお話しする時とも、町全体の会議などでお聞きする話とも違った「地区ごとの課題や経験」を聞くことができ、興味深かったです。懇談会での一部分や情報収集するなかで聞いた話を切り取ってみました。
※A牧場・B牧場→オーチャードグラスを地域で先行して取り組んでいる牧場
※C牧場→チモシー草地を主体とする牧場
話題1:収穫回数について
普及センター「収穫回数が3回に増える点についてどう思いますか? また、収穫のポイントなどありますか?」
A牧場「刈り遅れになると喰いは確かに落ちると思う。けれど、うちは刻みのサイレージだからとくに問題はないよ。年に3回収穫のチャンスがあるから、1回くらい固いものでも、ほかの柔らかいものと組み合わせると消化性としてはちょうど良いくらいかな。」
B牧場「収穫作業を共同でやっているところは難しいかもしれないけれど、その年の生育によって収穫時期を調整することだね。気は使うけれど、喰わせるものすら無いのが一番困るから、暑さに耐えられるオーチャードグラスを選ぶかな。ほかの新しい品種も試していくつもりだよ。」
コンサルタント「チモシーとオーチャードグラスの両方を持っている農家さんは、チモシー収穫の流れでオーチャードグラスを刈るとちょうど良い時期に刈れているよ。作業の流れを切らずに済むからやりやすそう。草も良いものが取れているよ。」
話題2:オーチャードグラスへの転換方法について
A牧場「うちは、追播でチモシーからオーチャードグラスに変えたよ」
普及センター「草地更新ではないのですか?」
A牧場「チモシー主体で、5〜6年経過して裸地が目立ってきた圃場に、追播でオーチャードグラスを播種すると、より強いオーチャードグラスが勝つから更新作業をしなくても草種をチモシーからオーチャードグラスに変えられるよ」
普及センター「なるほど。コストも抑えられそうですし、失敗が少なさそうで良いですね!」
話題3:嗜好性について
C牧場「昔、オーチャードグラスも播種していたけれど、嗜好性が悪くてやめてしまったんだよね。オーチャードグラスが残っている圃場もあるけれど、喰いが悪いんだよ……」
普及センター「昔の品種は、栄養価の落ち方も早くて扱い辛かったかもしれませんね。今、販売されている品種は、糖度も高くて美味しい品種だそうですよ! 近々出る品種もさらに糖分が高くて嗜好性が良いみたいです。」
C牧場「本当かな・・・。」
普及センター「品種の差もあるかもしれませんが、もしかしたら、枯れ草が入ってしまって嗜好性を下げているかもしれません。最近秋の気温が高くて草が伸びすぎてしまうので、枯れ草の混入を心配していました。来春、牧草地を一緒に見てみましょう!」
こういった情報をまとめて、春に間に合うように技術情報冊子も制作しています。技術情報などの「知識」と先行して取り組んでいる農家さんなどの「知恵」を地域で共有し、変化する気象変動を乗り切っていくお手伝いができればと思います。
PROFILE/ 筆者プロフィール
前田 真之介Shinnosuke Maeda
Dairy Japan編集部・北海道駐在。北海道内の魅力的な人・場所・牛・取り組みを求めて取材し、皆さんが前向きになれる情報共有をするべく活動しています。
取材の道中に美味しいアイスと絶景を探すのが好きです。
趣味はものづくりと外遊び。




