酪農役立ちコラム

初乳中の菌を増やさないポイント

JOURNAL 2026.02.04

宮島 吉範

宮島 吉範Yoshinori Miyajima

 子牛に飲ませる前の初乳の扱いや保管管理は、子牛を健康に育てるためにとても大切な技術です。哺乳を担当されている皆さんは、初乳に菌をなるべく増やさないこと、そして生まれたての子牛に初乳よりも前に菌を与えないことを、常に高いレベルで意識しないといけません(哺乳担当者のみならず、農場全体でその意識を共有することがめちゃくちゃ大事です)。それが後々の治療の減少、下痢をした子牛への手間の減少につながるのだ、ということに思いをはせ、そのことにもっと集中するべきです。

 酪農の現場において、菌が初乳中に侵入するリスクは、実はバケットが多いとの報告があります。このグラフは初乳中の菌がいったいどこで増えるか、を示したグラフです(図1)。きちんと搾られた初乳の細菌数は意外と少ないようです。しかし、バケットなどの搾乳機器が汚染されていると菌が増殖してしまうことがこのグラフからわかります。バケットの後の哺乳器具も、もちろん綺麗でないといけません。このグラフでは、それほどでもないですが、哺乳瓶や乳首などの器具が汚くても菌が混入してしまう恐れがあります。

 子牛に直接触れる哺乳瓶や乳首などを、気合いの入った洗浄・消毒をされている方には現場でよく遭遇することができます。しかし、その前のバケットが汚い事例を見てしまうことが、残念ながらよくあります。
 普段の搾乳に使用するミルカーは確立された洗浄システムのなかで毎日、「洗浄→アルカリ→酸性→消毒」が規則正しく行なわれています。しかし、バケットはそのシステムから独立をしていることが多く見受けられ、農家さんごとのオリジナルな方法で洗浄のみが行なわれているケースが多いのではないでしょうか? そう思い、よくバケットを見せてもらうのですが、結構酷い状態のものが多いです(写真)。

 先日、コンサル先の農場で、そのお話をしたら、そこでは日々の洗浄・消毒はもちろんしっかり行なわれていたうえに、1週間に1回、バケットを分解できる範囲で分解洗浄を行なっているとのことでした。いつもきちんとやっているつもりでも、1週間の汚れは何かしら蓄積してしまうので、必ずそのような対応をするとのことでした。実際の場面を見ていないので、バケットの何をどう分解できるのかが、自分はわからないのですが、その農場の子牛の大きさを見ると、やるべきことはまだまだたくさんあるのだなと大変刺激を受けました。バケットミルカーの「洗浄・消毒マニュアル」を作ることも、健全な子牛につながると考えられます。

PROFILE/ 筆者プロフィール

宮島 吉範

宮島 吉範Yoshinori Miyajima

千葉県の一般家庭に生まれる。麻布大学 栄養学研究室を卒業後(有)あかばね動物クリニックに入社し獣医師として25年。現在は、乳牛・肥育牛(主に交雑種)・繁殖和牛を担当する。乳牛においては診療・繁殖検診・搾乳立会・人工授精・受精卵移植・コンサルティングなどを行なう。趣味は妻との居酒屋や蕎麦屋巡り。

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