Dairy Japanバックナンバーまとめ

育成牛舎の飼槽・水槽・牛床

JOURNAL 2025.11.18

小川諒平

小川諒平Ryohei Ogawa

『Dairy Japan 2025年2月号』P.16「初産分娩までが未来の経営を左右する No.12=育成牛舎の飼槽・水槽・牛床=」より

 育成牛は、あなたの農場の将来の牛群です。ですから育成管理の改善は、経営基盤の強化と言えます。
 育成管理の改善に軸足を置いた「初産分娩までが未来の経営を左右する」と題したシリーズで、海田佳宏さん(株式会社 清流酪農サービス・代表)が詳しく解説してくださいました。
 今回は、その12回目(最終回)です。以下、抜粋・要約。

飼槽

 育成牛の体格は成長とともに変化することから、飼槽構造は成育ステージに応じた設置が好ましいところです。道総研酪農試験場では、育成の飼槽設置に関して有効な指標を示しています(1)。これは6カ月齢以降の飼槽壁の高さは50cmで採食可能であるという見解です。どうやら、育成牛は足が長いため飼槽壁が高くても採食できるようです。ですから、6カ月以降の育成牛舎を設置する場合の飼槽壁の高さはデザインが統一できるので、農場や施工業者への説明が簡単です。私はこの方法で数多く牛舎設計をしてきましたが、上手く機能しています。

水槽

 Mid West Plan Service(MWPS-7)によると、育成牛は体重100kg当たり8.4から12.6リットルの飲水要求とされています。また、水槽の水深は15から18cmが推奨されています。
 水槽は排水が確保されるなど、掃除しやすい構造であるべきです。多くの伝染病拡大が水槽に起因することもあるので、衛生管理に十分留意しましょう。

 冬場に凍結がある地域は、給水が制限されない工夫を検討しましょう。
 また、育成牛は体格差があるので、水槽の高さには配慮が必要です(2)。

牛床

 育成牛の寝床は、フリーバーンかフリーストール、あるいはこれらの併用がほとんどです。放牧やパドックを併設することもあります。ごく少数で係留方式を採用しています。
 フリーバーンは、1頭当たりに必要とされる牛床面積が育成ステージよって異なりますが、流動的な側面があり、多少の頭数変動や体格差にも対応可能です。

 フリーストールは、育成ステージによりストールのサイズが異なります。牛床の全長、牛床の長さ、牛床の幅、ネックレールの高さは月齢で異なるので、それらの設定は群構成により決定されます。
 フリーバーンとフリーストールの選択は、設置コストや敷料などの維持コスト、作業性、糞尿処理方式など総合的な判断が必要です。大事なのは、育成牛が清潔で乾燥した環境で飼養されること、授精や投薬・仕分けなど個別管理できる仕掛けがあることです。

 本稿(Dairy Japan 2025年2月号)では、飼槽柵(ません棒、斜め柵、連スタ)の設計と注意点、ストールの設計と注意点など、より詳しく紹介されています。ぜひご覧ください。

PROFILE/ 筆者プロフィール

小川諒平

小川諒平Ryohei Ogawa

DairyJapan編集部。
1994年生まれ、千葉県出身で大学まで陸上競技(走り高跳び)に励む。
趣味はサッカー観戦。
取材先で刺激を受けながら日々奮闘中。
皆さんに有益な情報を届けるために全国各地にうかがいます。

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