こんにちは、日大の泉です。
まずはプロ野球の日本ハムファイターズから入らせてください。クライマックスシリーズでは見事な戦いぶりを見せてくれましたが、惜しくもあと一歩届きませんでした。神奈川在住の道産子として、周囲にファイターズファンがほとんどいない中での“アウェー”な一年でしたが、それでも彼らの熱いプレーに何度も勇気づけられました。シーズンを通して感動を与えてくれたチームに心から感謝しています。来年こそは、ぜひ優勝を勝ち取ってほしいです。
低泌乳牛群VS高泌乳牛群
今回は、長命連産について考えてみたいと思います。
ここに平均乳量8,500kg、平均産次が4.0産の低泌乳群、10,500kg、3.3産の中泌乳群、12,000kg、2.4産の高泌乳群の3群がいたとします。このうち、1頭当たりの年間収益と生涯収益はどの群が最も高くなるでしょうか?
乳代、飼料費、育成牛にかかるコスト、獣医診療コストをざっくりと考慮して計算すると次のような結果になりました。
年間収益は乳量の影響力が大きく、①高泌乳群、②中泌乳群、③低泌乳群となりました。これは当たり前の結果ですね。
一方、一頭の乳牛が生涯に稼ぐ収益では①中泌乳群、②低泌乳群、③高泌乳群と逆転現象が起きました。低乳量でも4産できる低泌乳群が、「太く短く」の高泌乳群を上回りました。そして、生涯にわたって最も稼ぐと試算されたのは中泌乳群でした。ヨーロッパでの調査論文では次のように記述されています。「最も儲かるのは中庸な高泌乳牛で3~3.5産を安定的に回すことである」(Adamie et al., 2023)とのことです。
高泌乳であっても短命だと生まれ落ちからの初期投資を回収できないリスクがある一方で、4.5産を超える長命連産では加齢に伴う健康面・繁殖面のコスト増が利益率を圧迫するようです。

まず目指すべき目標値
今回の試算は、私がエイヤと当てはめた数字で計算したものですので、現実とはギャップがあるかもしれません。ですが、現代のホルスタイン種であれば個体乳量1万kg程度の乳生産はストレスなく達成可能ですし、決して“搾りすぎ“とはいえません。これくらいの中泌乳+3産以上の中程度連産とセットで飼養することが、経営安定化に向けては最低限の目標になりそうです。その目標をクリアできたら、次は産次を延ばすか、乳量アップを目指すか、経営主の判断になるでしょう。
皆さんの牛群の平均乳量と平均産次はどれくらいで、今後の目標はどのあたりでしょうか?
PROFILE/ 筆者プロフィール
泉 賢一Kenichi Izumi
1971年、札幌市のラーメン屋に産まれる。1浪の末、北大に入学。畜産学科で草から畜産物を生産する反芻動物のロマンに魅了される。修士修了後、十勝の酪農家で1年間実習し、酪農学園大学附属農場助手として採用される。ルミノロジー研究室の指導教員として学生教育と研究に取り組むかたわらで、酪農大牛群の栄養管理に携わる。2025年4月、27年間努めた酪農大を退職し、日本大学生物資源科学部に転職する。現在はアグリサイエンス学科畜産学研究室の教授。専門はルーメンを健康にする飼養管理。最近ハマっていることは料理と美しい弁当を作ること。




