
皆さんは土壌分析を見るときに、どの成分に目を向けますか? 窒素? リン? 多くの人はそれら「成分」に目を向けがちです。正解はありませんが、私達が言う「良い土」なのかどうかを知るには何を見るのが良いのでしょう?
良い土とは?
今回は、初回で書かせてもらった「良い土とは?」を定量化するのに役立つ「腐植」と「CEC」についてです(良い土の目合わせに、vol.1を読んでもらうことをお勧めします)。
腐植とCECを調べてみると……
腐植とは、土壌中に含まれる有機物。堆肥や落ち葉など有機物を微生物が分解した物質。
CECとは、どれだけ土に陽イオンを蓄えておけるか? を表した数値。などという説明が出てきます。
わかりにくい……そう思うのは僕だけでしょうか?
僕は難しいのが嫌いです。頭が真っ白になってフリーズします。そのため、僕は理解するのには親しみやすい例え話を多用します。
「腐植」と「CEC」を知ろう
今回、
腐植は「家の大きさ」
CECは「部屋数」
さらに、働いてくれる養分は「労働者」だと思ってください。
腐植
堆肥や有機物が畑に入ると、それを土壌菌が分解します。すると腐植が作られて、家が大きくなっていきます。
腐植は3タイプの家主で構成されていて、労働者を迎え入れます。それが「ヒューミン」「フミン酸」「フルボ酸」です。
腐植で一番大きな「ヒューミン」が大枠を作り、バランスの良い「フミン酸」は中規模な部屋を作ります。小さくて水に溶ける、フッ軽(フットワークが軽い)な「フルボ酸」は小部屋をたくさん作っていきます。
労働者は1人1部屋が原則なので、たくさん部屋があると次々に入ってきます。
CEC(陽イオン置換容量)
この部屋の数のことをCEC(陽イオン置換容量)と言います。(余談ですが、陽キャな成分(+の電化)を持つ労働者のみ入れる、と覚えました。)
つまり、土の中に腐植が増えると部屋数が増えていき、養分が溜められるというわけです。
フルボ酸
農業用の資材で「フルボ゙酸」を好む人がいるのは、単純にCECが増えるだけでなく、小さくてフッ軽な家主がほしいからです。
一般的な畑が持つCECが約20とするならば、フルボ酸のCCECは1000! 普通の畑に比べると50倍です。多くの労働者を雇う、圧倒的なコミュ力ですね。
さらに小さいフルボ酸は書ききれないほどスーパーな力を持っています。その一つとして、根だけでなく、植物の葉の隙間から入り込めるのです(アミノ酸や硝酸態窒素も葉から入り込むことができます)。そして、フルボ酸だけが植物に入りすぎても害がほとんどありません。
「堆肥を入れよう!」=「腐植を高めてCECをあげよう!」と言っても過言ではありませんね。
土壌分析をどう判断する……?
土壌分析とは「土を溶かして養分を分析したもの」です。お気づきの方もいると思いますが、そのとき、CECの部屋に入っている養分は成分として出て来にくいのです。本当はすでに土中にある養分を「不足」と言われて購入しているケースがほとんどです。
こうして腐植とCECついて理解をすると、土壌分析の見方が変わりませんか?
読んでくれたあなたが何に取り組んでいくか、一緒にお話ししたいと思っています。
いつでもご連絡ください!私達の会社「soil」でお待ちしています。
PROFILE/ 筆者プロフィール

今村 太一Imamura Taichi
標茶町を拠点に、土壌改良資材の販売や周辺酪農家さんのサポートをする「soil」の代表。飼料会社に13年勤めた後、ドライフラワーやマツエク、ネイルのお店を経営。弟と一緒にsoilを立ち上げ、今は土や牛、人とのつながりを大事にしながら活動中。
経営やコーチング、微生物の話が好きです。「目の前の人に丁寧に」が大切にしている想いです。