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良い草を育てるための良い土と菌の話5:土の中にはタワマンを

JOURNAL 2025.06.11

今村 太一

今村 太一Imamura Taichi

 皆さんは土壌分析を見るときに、どの成分に目を向けますか? 窒素? リン? 多くの人はそれら「成分」に目を向けがちです。正解はありませんが、私達が言う「良い土」なのかどうかを知るには何を見るのが良いのでしょう?

良い土とは?

 今回は、初回で書かせてもらった「良い土とは?」を定量化するのに役立つ「腐植」と「CEC」についてです(良い土の目合わせに、vol.1を読んでもらうことをお勧めします)。

腐植とCECを調べてみると……

腐植とは、土壌中に含まれる有機物。堆肥や落ち葉など有機物を微生物が分解した物質。

CECとは、どれだけ土に陽イオンを蓄えておけるか? を表した数値。などという説明が出てきます。

 わかりにくい……そう思うのは僕だけでしょうか?
 僕は難しいのが嫌いです。頭が真っ白になってフリーズします。そのため、僕は理解するのには親しみやすい例え話を多用します。

「腐植」と「CEC」を知ろう

 今回、
 腐植は「家の大きさ」
 CECは「部屋数」
 さらに、働いてくれる養分は「労働者」だと思ってください。

腐植

 堆肥や有機物が畑に入ると、それを土壌菌が分解します。すると腐植が作られて、家が大きくなっていきます。

 腐植は3タイプの家主で構成されていて、労働者を迎え入れます。それが「ヒューミン」「フミン酸」「フルボ酸」です。

 腐植で一番大きな「ヒューミン」が大枠を作り、バランスの良い「フミン酸」は中規模な部屋を作ります。小さくて水に溶ける、フッ軽(フットワークが軽い)な「フルボ酸」は小部屋をたくさん作っていきます。
 労働者は1人1部屋が原則なので、たくさん部屋があると次々に入ってきます。

CEC(陽イオン置換容量)

 この部屋の数のことをCEC(陽イオン置換容量)と言います。(余談ですが、陽キャな成分(+の電化)を持つ労働者のみ入れる、と覚えました。)

 つまり、土の中に腐植が増えると部屋数が増えていき、養分が溜められるというわけです。

フルボ酸

 農業用の資材で「フルボ゙酸」を好む人がいるのは、単純にCECが増えるだけでなく、小さくてフッ軽な家主がほしいからです。

 一般的な畑が持つCECが約20とするならば、フルボ酸のCCECは1000! 普通の畑に比べると50倍です。多くの労働者を雇う、圧倒的なコミュ力ですね。

 さらに小さいフルボ酸は書ききれないほどスーパーな力を持っています。その一つとして、根だけでなく、植物の葉の隙間から入り込めるのです(アミノ酸や硝酸態窒素も葉から入り込むことができます)。そして、フルボ酸だけが植物に入りすぎても害がほとんどありません。

 「堆肥を入れよう!」=「腐植を高めてCECをあげよう!」と言っても過言ではありませんね。

土壌分析をどう判断する……?

 土壌分析とは「土を溶かして養分を分析したもの」です。お気づきの方もいると思いますが、そのとき、CECの部屋に入っている養分は成分として出て来にくいのです。本当はすでに土中にある養分を「不足」と言われて購入しているケースがほとんどです。

 こうして腐植とCECついて理解をすると、土壌分析の見方が変わりませんか?

 読んでくれたあなたが何に取り組んでいくか、一緒にお話ししたいと思っています。

いつでもご連絡ください!私達の会社「soil」でお待ちしています

https://www.soil-shibecha.com

PROFILE/ 筆者プロフィール

今村 太一

今村 太一Imamura Taichi

標茶町を拠点に、土壌改良資材の販売や周辺酪農家さんのサポートをする「soil」の代表。飼料会社に13年勤めた後、ドライフラワーやマツエク、ネイルのお店を経営。弟と一緒にsoilを立ち上げ、今は土や牛、人とのつながりを大事にしながら活動中。

経営やコーチング、微生物の話が好きです。「目の前の人に丁寧に」が大切にしている想いです。

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