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酪農家にとって学校・給食とは?

JOURNAL 2024.08.01

 夏休みは学校授業がありません。給食もありません。この学校給食の「ある日」と「ない日」の違いは、実は生乳需給で無視できない影響になって表れます。

 例えば、「学校給食が牛乳の生産量(≒消費量)に占める割合」をご存知でしょうか。答えは「年間とおして見れば約1割、『給食のあるその日』だけで見れば約2割」です。

 農林水産省の牛乳乳製品統計によると、2023年度の「牛乳生産量」は308万3180kl、うち「学校給食用」は34万2804klでした。その割合は「11%」です。ただ、学校給食があるのは1年のうちの半分ほどの日ですので、学校給食のある「その日」だけで考えると、割合はその2倍で約2割というわけです。

 このように牛乳の生産量の1、2割を占める学校給食というものの重要性に目をつけ、Jミルクは「土日ミルク」という活動を2022年度から行なっています。夏向けの情報発信として、例えば「休日アウトドアで牛乳・乳製品を楽しもう!」と題して「土日ミルクキャンプ」というページで新しい牛乳・乳製品消費のスタイルを提案しています。

アウトドアとの相性が良いものとして、【ロングライフ牛乳】と【スキムミルク】の訴求もしています。『土日ミルク』は年間をとおした啓発活動として行なっており、漫画や学校での授業教材なども掲載しています。学校給食と牛乳の重要性を伝えるため、今後も新たな展開をしていきます。

 さて、改めて「学校給食」というと、皆さんどんなイメージをお持ちでしょうか? 
 牛乳の生産量の1、2割を占めるものだということは先ほど述べましたが、そうした需給という面以外でも、酪農家や乳業メーカーにとって知っておくべき重要な点があると思っています。

 例えば、日本の学校給食は「世界に誇れる」のだという指摘が、専門家からなされています(第39回メディアミルクセミナー「世界に誇れる日本の学校給食―子どもと牛乳を考える―」(https://www.j-milk.jp/report/media/past/berohe000000m7lz.html)。その学校給食に携わる栄養士の立場からも、栄養バランスを整えるうえで欠かせないのが牛乳(言い換えると、もしも牛乳がないと、給食の栄養バランスが崩れてしまうため、献立を考えるのが非常に困難)という指摘を聞いたこともあります。(より新しいものとして、第55回メディアミルクセミナー「現代日本人が抱える『低栄養』問題 『若い女性のやせ』『小中学生の栄養不足』」(https://www.j-milk.jp/report/media/milkseminar_Newsletter55.html)もご参照ください。
 「土日ミルク」は、そうした子ども達の栄養バランスについて「いちど考え直してみませんか?」という趣旨もあって始めました。

 さて、今年も夏の暑さが、すでに多くの地域で、かなり危険といえるレベルに達しているようです。今年は夏に牛の分娩が多い地域もあるといわれており、酪農家の皆さんもさまざまな暑熱対策を講じておられることと想像します。何とか頑張って、今年も記録的な猛暑を乗り切りましょう!

PROFILE/ 筆者プロフィール

一般社団法人Jミルク

一般社団法人Jミルク

酪農・乳業に加え、牛乳販売店の団体など、計23の正会員、95の一般・特定賛助会員(個人を含む、2024年4月現在)でつくる業界団体です。おもに、生乳・牛乳乳製品の需給や生産流通の安定、牛乳乳製品の栄養や健康に関する啓発、学校給食などを通じた牛乳の飲用習慣の定着、国際機関との連携や情報交換、およびそれらの理解促進や広報などを行なっています。最近は、酪農乳業の歴史に関する資料の収集や調査なども行なっています。事務所は東京・お茶の水にあります。

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