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水本牧場ブログ19:「3カ月齢までの管理、10歳まで」Part.1

JOURNAL 2025.03.24

 ことわざに「三つ子の魂、百まで」があります。

 年をとっても、幼い頃の性格や気質は変わらないこと、を意味します。

 このことわざにかけて、牛で例えると、個人的にかなりしっくり来ると思っています。それが「3カ月齢までの管理、10歳まで」です。

 その言葉のとおり、私は3カ月齢までの管理で、その後が決まると考えています。子牛の管理において、生後3カ月までが、いかに重要かを話します。

子牛の管理と成績は減点方式?

 これまでは、子牛が生まれてから良い管理をすることで、「加点方式」で初産の成績が向上すると考えていました。しかし、4年前くらいからゲノムを理解してからは、生まれた子牛の能力を100%として、そこからの「減点方式」ではないかと気がつきました。

 初産を迎えたときに、いかに高いパーセンテージで、遺伝能力を発揮できるかの勝負だと考えるようになりました。

五つにステージ分けをして、パーセンテージで評価する減点方式の評価表

 哺育育成期を五つの時期に分けて、それぞれで、どの程度の管理ができたかを考えます。

①分娩・初乳
②哺乳
③離乳・授精
④受胎・分娩2カ月前からの管理
⑤分娩前後

 私は、生まれた子牛の能力の半分は、生まれた時点で決まると考えているため、それぞれステージを10%ずつにして、その合計と基礎の50%を合わせて、何%の状態で搾乳を開始できるかを意識しています。

評価基準に関しても、かなりシビアに見ていて、分娩や初乳で上手くいかなければその後にも影響することから、分娩・初乳で9%の評価なら、次の哺乳の評価は9%スタート、8%なら8%スタートといった感じで見ていきます。

 ①の管理が8%だとして、仮にその後が完璧でも、8%×5ステージで40%。基礎50%を加えて90%のような感じの方式です。

 乳量で例えると、仮に、その牛のベストの状態が初産乳量1万kgだとすると、そのうちの1%が100kgです。初産を迎えたときに、能力の90%だとすると、乳量9000kgとなります。

 このように考えると、管理においては、どのステージでも気を抜くことや手を抜くことができないと思います。

生後も大事だが、生まれる前も大事

 そして、基礎の50%を決めるのは、さらにその前です。生後3カ月までが重要だというのは、誰しもがわかっていることだと思います。ですが、生まれてからの3カ月だと思い過ぎてはいけません。母牛、精液選定から始まり、授精→受胎→分娩前管理→分娩までの約12カ月も忘れてはいけません。

 まずは、生まれたときの能力が高い牛を作ることが求められるので、母牛、精液選定がとても重要になります。そして授精→受胎→分娩前管理→分娩とつながり、分娩後からの管理で、能力×パーセンテージとなり、初産を迎えた後の成績へと変わります。

 生まれた子牛の管理のなかでは、とくに最初の三つのステージにも入る、生後3カ月までの管理が、その後の牛達の未来に大きく影響すると考えています。

 次回は、母牛、精液選定などの話をしたいと思います!

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PROFILE/ 筆者プロフィール

水本 康洋

水本 康洋

1983年、別海町の酪農家生まれ。
北海道立農業大学校卒で、帯広市の酪農ヘルパーを経て、実家に就農。
その後、実家を離れ、浜中町にて研修後、2016年4月に新規就農し、現在に至る。

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