
宇都宮賞は、北海道酪農の父とされる宇都宮仙太郎翁の功績をたたえ、その精神を継承していくことを目的に、翁の命日である3月1日に功績のあった方々を表彰するものです。今回の受賞者とその主な功績は、以下のとおりです。
酪農経営の部

永峰 勝利氏(66歳)
永峰氏は、乳牛改良に励み、自給粗飼料の栄養価値や単位当たり収量の向上に重点を置いて、土壌改良や圃場整備などに注力してきました。粗飼料の単位当たり収量は地域の平均を上回り、高品質な自給飼料の確保から、乳牛の長命連産と農場の経済安定を実現しています。
乳牛の生涯生産能力を高める乳牛改良こそが酪農経営に必要不可欠な技術と捉え、精液の選定・受精卵移植を自ら学び、平均乳量1万752kg、乳脂肪率4.34%と乳量・乳成分の高い牛群を維持しながら、これまで96頭のエクセレント牛を輩出し、牛群体型審査では全道トップクラスの優れた成績を収め、地域の模範となる堅実な経営を確立しました。
酪農指導の部

久保田 学氏(69歳)
久保田氏は、釧路地区NOSAIに入組してから41年間、臨床獣医師として家畜の予防衛生、診療、損害防止に従事。勤務当時、酪農家が乳房炎の発生で大きな損失を受けていたことから、治療だけでなく予防が最重要と認識し、感染リスクを下げる乳房炎コントロールの普及に努め、乳房炎の発生予防に尽力し、地域の家畜衛生および家畜の生産性向上に大きく貢献しました。そのほか関係機関と連携して各町に酪農技術者連絡協議会の設置と、共済組合内に乳房炎防除対策専門部会を発足させるなど組織体制の整備に尽力。家畜衛生のリーダーとして信頼も厚く、釧路管内の酪農畜産の発展に大きく貢献しました。
乳牛改良の部

久保 剛氏(66歳)
久保氏は、家族経営で安定した酪農経営を追求し、温厚で搾乳性が良く、健康な牛を目指して、牛群の検定や審査には積極的に取り組み、機能的体型・長命連産性・生涯生産能力を高める乳牛改良に努めてきました。
牛群検定では、平均乳量1万658kg、乳脂肪率4.21%の成績で、乳量、成分率の高い牛群を実現。牛群体型審査では、平均得点84.4点、体型偏差値132.2と高いレベルで、体型・能力のバランスが素晴らしい牛群を作出しています。
昭和61年から全道共進会に33回出品し、平成5年北海道共進会において首席を獲得。第14回全日本共進会では優等賞2席を獲得するなど、多くの成績を収めてきました。
地域では中標津乳牛改良同志会の会長を務め、関係団体の活動に積極的に参加し、仲間作りや新しい技術の普及、道内外から研修生を受け入れ献身的に活動するなど、地域のリーダーとして酪農をけん引しており、地域の酪農振興に大きく貢献しました。
PROFILE/ 筆者プロフィール

前田 真之介Shinnosuke Maeda
Dairy Japan編集部・北海道駐在。北海道内の魅力的な人・場所・牛・取り組みを求めて取材し、皆さんが前向きになれる情報共有をするべく活動しています。
取材の道中に美味しいアイスと絶景を探すのが好きです。
趣味はものづくりと外遊び。