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西川賞に長崎県・小栁詩織さん、鹿児島県・川原慎之介さんー第53回家畜人工授精優良技術発表全国大会

JOURNAL 2025.02.21

前田朋宏

前田朋宏Tomohiro Maeda

 日本家畜人工授精協会は2月14日、都内で第53回家畜人工授精優良技術発表全国大会を開催しました。全国から家畜人工授精師や獣医師、関係者などが多数参加しました。
今大会では計8題の演題が発表され、最優秀賞である西川賞には小栁詩織さん(長崎県家畜人工授精師協会・中央地区家畜人工授精師会)発表の「繁殖成績向上への取り組みにおけるICT活用および診療獣医師との連携」と川原慎之介さん(鹿児島県家畜人工授精師会連合会・肝属支部)発表の「超音波診断装置を活用した2卵移植の取り組み」が選ばれました。

 小栁さんはスマホアプリを自農場を含む地域の3農場(いずれも肉用牛繁殖)の繁殖管理に活用。繁殖成績の向上に向けて発情発見率や妊娠率など6項目の目標値を設定し、アプリの活用と獣医師との連携で取り組んできました。また獣医師と農場の繁殖巡回を実施し、獣医師は妊娠鑑定や必要な治療を、小栁さんは獣医師の指示のもとで農家のフォローを行なうなどし、成績を改善しました。


 川原さんは黒毛和種の繁殖雌牛90頭、交雑種雌牛50頭を飼養する繁殖経営を営んでいます。収益性のさらなる確保を目的に超音波画像診断装置を用いた2卵移植による双子生産に取り組んでいます。移植可能な受精卵が10個以上採卵できた場合に2卵移植を行なっているといいます。その際、2卵の組み合わせ(新鮮卵・凍結卵)はランクA・C’、ランクB・Cで低ランク受精卵も有効活用しています。令和5年における双子生産の実績は移植回数41回に対し、受胎率は68.3%、双子分娩数20組と令和3年成績より大幅に向上しました。川原さんは双子生産の向上は母牛のBCSの改善と超音波画像診断装置の活用にあると述べました。

PROFILE/ 筆者プロフィール

前田朋宏

前田朋宏Tomohiro Maeda

Dairy Japan編集部・都内在住。
取材ではいつも「へぇ!」と驚かされることばかり。
業界に入って二十数年。普遍的技術、最新の技術、知恵と工夫、さまざまな側面があるから酪農は楽しい!

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