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ご無沙汰しておりましたが、更新させていただきました。
先月の発刊された『Dairy Japan1月号』の記事にも紹介させていただきましたが、まろにえふぁーむでは健康重視で種雄牛を選定しています。これには目的がいくつかあります。
低能力の牛を淘汰できる環境を作る
この表は北海道の乳検データです。(北海道酪農検定検査協会発行)
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経産牛の除籍理由で「低能力」は10%もおらず、「死亡」が20%、「繁殖障害」が15%、「乳房炎と乳器障害」が15%となっています。
これは、牛群からいなくなる牛の約半数が何らかのトラブルでいなくなっており、低能力の牛の淘汰が進められていないということを示しています。
ですので、例えば改良から健康性を高めることで周産期病や乳房炎を減らせれば、低能力の牛を積極的に淘汰することができるので、牛群改良の速度を速められると考えています。
また、別の利点として死廃の牛を減らせれば、廃用牛出荷を増やすことができるので大きな収入源になります。
私達の昨年の死廃は4頭(出血性腸炎1、股関節脱臼1、子宮捻転1、腹膜炎1)しかおらず、廃用牛の売り上げは過去最高の850万円でした。
牧場全体の売り上げのうち約3.5%を占めています。
治療する時間を削ることで生産性を高める
乳房炎になってしまうとバケットミルカーで別搾りし、搾乳の手を止めて乳房炎軟膏を入れます。周産期病になると傷病ペンに入れたり、獣医対応や点滴のケアが必要になります。
これらの手間を減らすことができれば、ほかの仕事に取り掛かれるため、そのぶんだけ生産性を上げることができます。
まろにえふぁーむでは、昨年の第四胃変位の発生は0、ケトーシスもほとんど無く、分娩後に点滴された牛も2、3頭しかいませんでした。また、乳房炎も月に数頭しか発生しないため、160頭の搾乳は2時間以内に終わらせることができています。
PROFILE/ 筆者プロフィール
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田辺 雅人Masato Tanabe
株式会社まろにえふぁーむ代表。
千葉県出身で妻の実家である別海町の農場に就農。
就農以降、積極的な牛の健康管理による経営向上に取り組み、全国トップクラスの良乳質乳を生産する。