子牛の肺炎が多いなと感じていたところ、自分もインフルエンザに感染しました。2024年初めにも感染したので、自然免疫を獲得したと思い、ワクチン接種を怠った状態で、あちこちの飲み会に参加したことが敗因のようです。ウイルス感染による発熱はやはり別格です。寒気でガタガタ震えました。発症から5日経ちましたが、まだ不調です。
今回は、熱に震えながら考えた、「自分がもし牛で、発熱したら飼い主にお願いしたいこと」をいといろと書いていきます。
①暖かい寝床
熱が出ると本当にしんどいです。すぐに横になりたいです。人間はよほど悪いことをしていない限り、暖かい布団に入ることができます。もちろん、そこは自分の糞や尿で湿っていません。弱ったときは、腹が濡れない綺麗な寝床がほしいです。あと、寒気が凄いです。ヒーターとかがあるとありがたいです。もしなくてもジャケットを着せてもらえると嬉しいです。けれど、発熱すると汗をかくかもしれないので、たまにジャケットの下に手を突っ込んで汗をかいていないか確認してくれると嬉しいです。
②水
のどが痛いときは水を欲します。のどを潤したいです。きっと子牛も同じでしょう。発熱も水を欲します。できれば経口補液剤のようなものがあれば良いのでしょうが、綺麗な水をたくさん置いといてもらえると大変嬉しいです。
③隔離
熱があるときは、できれば一人(1頭)にしてもらいたいです。弱ってヘロヘロなので、元気な牛達と一緒だとエサを食べることはできません。牛はたぶん、人間と違い弱っている子をフォローしてあげる優しい気持ちは持っていません。そうすると、弱い牛は群でどんどん弱くなります。もし部屋に余裕があるなら隔離してほしいです。群内に病気を広げないという観点からも隔離は必要だと思います。
④食事と看護
もちろん、薬は必要です。自分も聴診されましたが、肺炎には移行していなかったので、抗インフルエンザ薬と解熱剤を処方してもらいました。薬も大事ですが、食事(消化が良く嗜好性が良い食事)と看護(暖かい寝床、十分な水、適切な隔離)はさらに大事です。
個人的には、発熱時には消化器官の能力も低下するのか、消化の良い、栄養価の高い食べ物をほしくなります。牛にも「処方食」みたいなのが必要かと思います。少量でカロリーを十分にゲットできる食べ物です。
農場で重宝しているのは、糖蜜入りのブロックや製剤です。それ以外にも、栄養ドリンク的なものを、誤嚥に気をつけながら与えるようにします。子牛が風邪を引いたときは、「これ! というエサを作るべきなのか?」と熱にうなされながら考えました。
写真1:古いフットバスを改良したベッド。弱っているときは温かい場所で寝たい
写真2:群飼育の中のヒーター。真ん中の子牛のようにリラックスして寝たい
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PROFILE/ 筆者プロフィール
宮島 吉範Yoshinori Miyajima
千葉県の一般家庭に生まれる。麻布大学 栄養学研究室を卒業後(有)あかばね動物クリニックに入社し獣医師として25年。現在は、乳牛・肥育牛(主に交雑種)・繁殖和牛を担当する。乳牛においては診療・繁殖検診・搾乳立会・人工授精・受精卵移植・コンサルティングなどを行なう。趣味は妻との居酒屋や蕎麦屋巡り。