『Dairy Japan 2024年4月号』P.68「初産分娩までが未来の経営を左右する No.2」より
育成牛は、あなたの農場の将来の牛群です。ですから育成管理の改善は、経営基盤の強化と言えます。
育成管理の改善に軸足を置いた「初産分娩までが未来の経営を左右する」と題したシリーズで、海田佳宏さん(株式会社 清流酪農サービス・代表)が詳しく解説してくださいました。
今回は、その第2回目です。以下、抜粋・要約。
見た目や感覚で判断していませんか?
子牛の発育目標は、『NRC乳牛飼養標準2001』からも、最新版『NASEM乳牛栄養要求』からも、注目度と関心が高いことがうかがえます。
これらの飼養標準では、「体重」に基づいた記述が多く示されていますが、酪農現場では、定期的に子牛の体重を計測することは、ほとんどないようです。見た目や感覚で「大きい」「小さい」と語ることが多いのではないでしょうか。
子牛の発育目標(体重・体高)
子牛の発育目標は以下です。
・体重:2カ月齢で生時体重の2倍
・体高:2カ月齢で10cm増
例えば、体重42kgで生まれた子牛は、発育が順調であれば、56日齢(2カ月齢)で体重84kgに到達します。日増体量は以下です。
(84kg – 42kg)/56日 = 0.75kg/日
これは1日に0.75kg体重が増えるという意味です。1カ月で22kgから23kg増体します。
体高は、発育が順調であれば、50%は誕生から6カ月齢で達成され、6カ月齢から12カ月齢で25%、12カ月齢から初産分娩までで残りの25%が発育します(Heinrichs)。
例えば、出生時の体高が80cm・初産分娩時の体高140cmであれば、誕生から初産分娩までに60cm発育したことになります。
そして、そのうちの50%の30cm(110cm)が生後6カ月齢で、25%の15cm(125cm)が12カ月齢で、残りの25%の15cm(140cm)が初産分娩時で達成されるべきということです。
目標を達成している農場は3割弱
では、子牛の発育の実態はどのようになっているのでしょうか。38農場で、生後2カ月齢前後の子牛の体重を、測尺テープを用いて1農場当たり複数頭を計測しました。
体重については、日増体が良好な農場では1.05kg/日で、2カ月齢で100.8kgになっていました(生時体重42kgとして)。日増体が不良な農場では0.19kg/日で、2カ月齢で52.6kgでした。その差は48.2kgです。
体高については、日増体が良好な農場では0.232cm/日で、2カ月齢で93.0cm(生時体高80cmとして)になっていました。日増体が不良な農場では0.046cm/日で、2カ月齢で82.3cmでした。その差は10.7cmです。
体重・体高とも目標に達成している農場は、全体の3割弱でした。
目標を達成するためには、まずは、計測が有効であると痛感しました。
PROFILE/ 筆者プロフィール
小川諒平Ryohei Ogawa
DairyJapan編集部。
1994年生まれ、千葉県出身で大学まで陸上競技(走り高跳び)に励む。
趣味はサッカー観戦。
取材先で刺激を受けながら日々奮闘中。
皆さんに有益な情報を届けるために全国各地にうかがいます。