実家の酪農場の移り変わり
私は現在道内で酪農を営んでいますが、私の実家も別地域の酪農家で、新規就農を目指す研修生の受け入れ農家でした。これまで新規就農を目指す多くの方々が実家の牧場で修行し、経験を積んできました。新規就農希望者は、なぜ実家の牧場を選んで学ぶ選択をしたのか、それはおそらく、実家が飼養管理だけでなくいろいろな取り組みをしていたからだと思っています。今回は、その取り組みを紹介します。
私が幼少期、実家では46頭繋ぎ牛舎での放牧経営を行なっていました。この頃はまだ、トレーサビリティ耳標がない頃で、斑紋を手書きで書いて登録していた時代でした。その後、私が10代だった頃に、叔父(父親の弟)と共同経営を始め、その頃から規模拡大・研修生の受け入れが始まりました。
規模拡大は、自分達で整地・測量・基礎工事を行ない、施設を作っていきました。年に1、2回のペースで、整備工場、フリーストール牛舎、育成牛舎、乾乳牛舎、2棟目フリーストール牛舎、飼料調製庫、スラリーストア、堆肥舎などを建て、最後に業者主導で150頭規模のフリーストール・パーラー牛舎を建設しました。ここまでに10年以上を費やしています。搾乳頭数は、46頭から200頭にまで増えました。
搾乳方法も、繋ぎのパイプライン46頭→繋ぎ牛舎+フリーストール総入れ換え搾乳100頭→パラレルパーラー200頭と移り変わっています。
搾乳に加えてこの建設仕事を行ないながら、畑作業にも力を入れ、コントラを使わずに自分達でやっていました。所有地は約180haあり、デントコーン、1から3番草、乾草、敷料乾草、更新草地と収穫作業があり、肥料撒き、スラリー撒き、堆肥撒きもしていました。雪が融けて、次の雪が降るまで、ずっと畑作業をしている感じでした。
規模拡大当初は、雪が降ってから畑周りの木を切って、春に根を掘って端から端まで使えるようにしたり、暗渠、明渠を作って水はけを良くするなどの草地改良もしていました。
経営を良くするために、多くのことを考え、いろいろな仕事をしていました。これだけのことをしていたので、自然とさまざまなことへの柔軟な対応力と、多角的視点による広い知識が身につきました。
広い知識を持っておくことが大切
これらの経験から、私個人の見解では、酪農においては「深い知識よりも多角的視点による広い知識」「意志を曲げない頑固さよりも柔軟な姿勢による対応力」が重要だと考えます。
幅広い知識を得るために重要なのは、
●継続的な学習:新しい知識やスキルを積極的に学ぶ姿勢
●多角的な視点: さまざまな角度から物事を捉え、柔軟な思考を心がけること
●コミュニケーション:周囲の人々と積極的にコミュニケーションを取り、情報を共有すること
●経験の積み重ね:さまざまな経験をすることで、問題解決能力や判断力を養うこと
などを意識することが大事だと思います。
とくに若いうちは、固定観念を持たずに海外・国内に視察に行き、多くの農家さんの話を聞くことが大切だと思います!
今の時代は移り変わりが早いので、柔軟性や多角的視点がより重要な要素だと考えます。先々の未来を見据えて、いろいろなことに興味を持って積極的に行動し、この先の酪農を皆で創造していけたら良いと思っています。
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