夏は受胎率が下がる。これは皆さんの共通認識だと思います。しかし、夏の繁殖成績を評価するときに、受胎率だけを見てはいけません。見るべきは受胎率よりも、妊娠率(21日妊娠率)です。
受胎率が高くても、妊娠は増えない
発情発見率とは、繁殖対象となる牛のうち何%の牛へ人工授精を実施できたかという数字です。自然発情を中心とする農場では暑熱期に急落します。
受胎率は、人工授精を行なった牛のうち何%が受胎したかです。
そして21日妊娠率は、簡単に言えば、「授精実施率×受胎率」です。

つまり、受胎率だけを高く見せても、実際に授精した頭数が少なければ、牛群全体の妊娠頭数は増えません。夏の繁殖管理の目的は、「受胎率を高くすること」ではありません。翌春に必要な頭数の子牛を、きちんと生ませることです。
夏季に繁殖にコストかけるのは本当に経営にプラスなのか?
上記の例と同様、F1販売と仮定して試算してみます。
30日齢子牛の出荷までに1頭あたり粉ミルク代が1万円、哺乳人件費が2万円かかるとして、哺育コスト3万円。受胎率20%なら平均授精回数5回で、移植などを組み合わせたとして授精コスト10万円かかったとしても、夏生まれより高く売れて1頭当たり数万円の利益が残ります。
恩恵は子牛の売上げだけではありません。春分娩を1頭でも増やせれば、夏の分娩ラッシュによる乾乳過密や哺乳ハッチ過密を緩和できます。暑熱による乳量の損失回避と、子牛の疾病減少による損失回避の利益が上乗せされます。分娩が続いてハッチの回転率が上がると掃除や乾燥の余裕がなくなり、どうしても子牛の下痢が増える傾向は多くの方が経験されていると思います。
以上のことから、夏季にはコストをかけてでも授精頭数を増やす価値があります。雑な試算ですが、実際にはもっとリターンが大きい牧場も多いと思います。とはいえ、繁殖検診にお金をかけても、実際に効果のある対策でなければ受胎しません。基本的な暑熱対策がなされていることが前提です。
「らくちっくラジオ」はこちらからアクセスしてください。QRコードも貼りますので。お持ちのスマホの種類によってポッドキャストの視聴方法がちょっと変わります。読み取ってご確認ください。

RELATED/ 関連記事
酪農役立ちコラム
受胎率向上で子牛生産コストを削減!まろにえふぁーむの授精戦略
JOURNAL
酪農役立ちコラム
【暑熱対策】送風機の掃除で電気代を15%節約できるする
JOURNAL
酪農役立ちコラム
毛刈りによる子牛の体調と成長
JOURNAL
酪農役立ちコラム
