酪農役立ちコラム

F1受精卵!? ホル受精卵!?–暑熱対策補助事業について

JOURNAL 2026.05.25

寺内 宏光

寺内 宏光Hiromitsu Terauchi

 暑熱対策補助事業の受精卵移植(以下、ET)奨励金について質問をもらうので解説します。

 6/1〜9/30までの期間に乳牛へ移植した交雑種受精卵(以下、F1卵)とホルスタイン種受精卵(以下、ホル卵)に対して、ET 1回当たり1万円の奨励金が出ます。

 暑熱下で人工授精の受胎率が極端に下がりますが、ETの場合はそれほど落ちないことがわかっています。ET用の受精卵(Day7)は、精子や受精直後の受精卵より暑熱ストレスに強いのです。

 受精卵への補助事業の主なルールは以下のとおりです。

・地域ごとに係数がある(後述※)
・受精卵の購入は過去の物でもOK
・預託先の育成牛も対象
・和牛受精卵は対象外
・1頭当たり2回まで
・追い移植や2卵移植の場合も対象
・購入受精卵でも自家採卵でもOK(受精卵証明書が必須)
・体内卵でも体外卵でもOK
・6~9月は「長命連産性支援」においてETは補助対象外

 地域ごとに係数が決められていて、実質ホル卵のET数に応じて、補助対象となるF1卵のET回数が決まります。

 例えば、北海道(1:1)なら、6~9月の間にホル卵ET 10回なら、F1卵ET 10回まで対象で、合計20回ぶんの奨励金が支給されます。F1卵をそれ以上移植していても対象外です。

 弊社のある関東(1:4)だと4倍なので、ホル卵ET 10回実施すれば、F1卵ET 40回まで対象で、合計50回ぶんの奨励金が支給されます。西日本はより暑熱ストレスが大きいので10倍の係数になっています。

 多くの場合、F1卵より入手の難しいホル卵の確保が課題です。弊社ではたまたま1年前からと畜場由来体外受精卵の培養設備を準備していたので、ホル卵もF1卵も安価に、しかも凍結しない新鮮卵で生産できる体制を構築してきました。

 弊社の受精卵は生産キャパが小さく顧客向けですが、各事業者が受精卵生産に奮闘しているので、補助を利用するならいろいろ探してみてはいかがでしょうか。

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PROFILE/ 筆者プロフィール

寺内 宏光

寺内 宏光Hiromitsu Terauchi

北海道にて酪農場勤務と㈱トータルハードマネジメントサービスでの修行を経て、2016年より栃木県にて家業の寺内動物病院を三代目として継承。より広く地域のニーズに応えるため2022年より法人化し、現在は獣医師4人在籍する㈱寺内動物病院の代表

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