最近の記事では、酸性土壌のことについて触れることが多くなっています。今回は、私が「なぜそんなに酸性土壌を!」と言っているのか? その前提条件を整えて、「結果的にリンが使えない畑」になるよ。という事についてお話ししようと思います。
日本の7〜8割は酸性土壌
現状として、日本の7〜8割がphが5台の酸性土壌です。これには僕も驚きました。つまり、あなたの畑も10枚中8枚は酸性だと言うこと。そして、それには日本特有の理由があります。
それは「雨が多い」こと。
雨のphはというと…
「平均4.6〜5.6」
けっこう酸性です。都市部では4.0になるというデータも出てきました。
雨が多いと畑は酸を足されているということです。
土が酸性の状況では、雨で「カルシウム(CaI)、マグネシウム(Mg)」が流れてしまいます。
これがどんなに良くない意味があるのか? は7話の記事で詳しく書いています。一度目を通してもらうと、これからの文章が読みやすいと思います。
土はCECという養分を入れられる器の指数があります。酸性土壌では「アルミニウム」「水素」が優先的にCECの器に入ります。

せっかくアルカリ性分を含んだカルシウムを入れても水で流されて、アルミニウムや水素が入ってしまうのです。理論的にもどんどん酸性になっていく。その理由がわかってもらえるかと思います。
酸性土壌でリンが使えない?
土壌自体の電気は「マイナス」です。土は岩が時間をかけて細かくなった「粘土鉱物」と、「腐植」が主成分です。(腐植はvol.5で説明しています!)

これらは両方ともマイナスの電気を帯びているので、プラスの電気を持つ成分(窒素、カリなど)がくっつきます。つまりCECに入ります。CECは成分を出し入れすることが出来るため、植物は使えます。
リンのようなマイナスの電気を持つ成分はというと…
「プラスの成分の金属イオン」にくっつきます。
そして強固な結合のため、植物は使えなくなります…
土中のリンの割合は
固定:植物が使える=70-90%:10-30%
となっていて、ほとんどがプラスの成分にくっついてしまい、植物が使える水溶性の形になっていません。だから土壌分析では「可溶性リン」の数値を出すんです。
まとめ
- 元々酸性土壌は畑の7-8割。
- その上雨も酸性
- アルミニウムが土からどんどん溶け出して
- リンが吸着する
- また肥料としてリンを入れて
- 4に戻る。
そう、「酸性土壌にはリンを入れても使えない形で固定される」のです。
元々酸性な状況下で、phを中性に持っていかない限りリンを勝ち取るとこはできません。
だから、8割の固定されてしまうリン使うには二つの作戦があります。それは、
アルカリ性を持ちながら、CECの優先度が高い「カルシウム」を土に入れましょう!
堆肥など、腐植を入れて「微生物」を増やしましょう!です。
まずはphを6台に持っていく。
これができると……
毎年高騰する、化学肥料を入れ続けなくてもいい日が来るかもしれません。
PROFILE/ 筆者プロフィール
今村 太一Imamura Taichi
標茶町を拠点に、土壌改良資材の販売や周辺酪農家さんのサポートをする「soil」の代表。飼料会社に13年勤めた後、ドライフラワーやマツエク、ネイルのお店を経営。弟と一緒にsoilを立ち上げ、今は土や牛、人とのつながりを大事にしながら活動中。
経営やコーチング、微生物の話が好きです。「目の前の人に丁寧に」が大切にしている想いです。




