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【注目】アメリカで「遺伝的評価の基準」が変わった!? 2025年4月のCDCBアップデートまとめ

JOURNAL 2025.04.23

寺内 宏光

寺内 宏光Hiromitsu Terauchi

 らくちっくラジオの寺内です。

 今回は、2025年4月1日に米国のCDCB(乳牛育種協議会)が行なった「Genetic Base Change(通称:ベースチェンジ)」について解説します。
 難しそうに思えますが、これからの種雄牛選びに影響する大事な話なので、できるだけ噛み砕いてご紹介します。

ベースチェンジって何?

 実は5年に一度、米国では乳牛の「評価の基準」をアップデートします。
 つまり、「このくらいの能力が平均的」という牛の集団(基準群)を、最新世代に入れ替えて評価し直すのです。なぜかというと、遺伝的にどんどん良くなっているから
 今回は、基準となる集団が2015年生まれ→2020年生まれに更新されました。
 昔の基準のままだと、今の牛のスゴさが正しく評価できなくなるんですね。

PTA値がちょっと下がった? でも大丈夫!

 「PTA」(予測遺伝能力)とは、いわば「この牛の子どもはこれくらいの能力があるよ」という予想値です。
 この評価値が、基準の変更により全体的に下がって見えるようになります。
 でもこれは、牛の能力が落ちたわけではありません!
 平均的な牛達の能力が上がったから、相対的に見て数字が下がるんです。

PTAの平均的な変動(ホルスタイン種)

NM$ の重み付けも変化!

 「NM$」(ネットメリット)は、「どれだけお金を稼いでくれそうな牛か」という総合指標です。2025年の変更で、評価の中身も見直されました。

 重み付けの変化のポイント
✔ 乳脂肪の重みが上がった
✔ 飼料効率(より少ないエサで育つ)の価値も上昇
✔ 生存率(在群期間)もアップ
✔ 妊娠率は少しダウン(ただし軽視されたわけではない)
→ 経済的重視ポイントが「乳量」から「乳脂肪」と「飼料効率」へ移行。長命性がより意識されるように。
 重視される項目の変化から、種雄牛のランキングにも変動が起きています。

 今回の変更で、見慣れた数値がガラッと変わったように見えるかもしれません。
 でも焦らず、「何が評価されているのか」をしっかり見ていきましょう!

🔸「乳成分」で乳代が決まりやすい米国の基準なので、「乳量」で乳代が決まる日本は、「NM$」だけでなく、乳量基準の経済指標「FM$」(フルイドメリット)も参考にすべきかもしれません。
🔸まだ飼料費が高いので、「飼料効率」重視は良いことでしょう。

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PROFILE/ 筆者プロフィール

寺内 宏光

寺内 宏光Hiromitsu Terauchi

北海道にて酪農場勤務と㈱トータルハードマネジメントサービスでの修行を経て、2016年より栃木県にて家業の寺内動物病院を三代目として継承。より広く地域のニーズに応えるため2022年より法人化し、現在は獣医師4人在籍する㈱寺内動物病院の代表

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