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カナダ・アルバータ州で牛や馬向けの粗飼料を生産し、日本向けに輸出を行うバーアグは、10月28から30日に群馬県(28日)、岡山県(29日)、熊本県(30日)で「粗飼料セミナー2024 粗飼料を考える」を開催しました。
デイリーコンサルティング㈱ 代表取締役の安井喬氏は「粗飼料給与のキーポイント:適量・高品質・一貫性」、Dairy Compass/Barr-Ag Ltd.の久富聡子氏は「西カナダでの粗飼料生産とデハイ大麦サイレージの使い方」と題して講演しました。
量・質・一貫性の重要性
安井氏は、牛は繊維の多いエサを摂取することで維持エネルギーを満たし、乳生産ができると述べ、粗飼料の重要性を説明しました。
また、粗飼料の量と質の重要性について、繊維量を正確に把握することでエサの摂取量がわかるとし、繊維は反芻を促しルーメンのpH安定につながるため、適度な繊維量の確保が必要だと述べました。さらに、消化のしやすさを理解することが乳生産量の把握につながると説明しました。
NDF指標を活用した適正値として、コーンサイレージ40〜44%、グラスサイレージ・乾草50〜55%、アルファルファサイレージ・乾草38〜42%を挙げ、粗飼料NDFの乾物摂取量は体重の0.9〜1.0%を目標にすると牛のパフォーマンスが最適化できると述べました。
また、粗飼料の質やサイズの一貫性を保つことが、あらゆる技術導入の基本となるとまとめました。
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デハイサイレージの活用ポイント
久富氏は、バーアグの2024年の作付け状況について、チモシー約5000haをメインにアルファルファ、サイレージ原料コーン、小麦/大麦ストローなどを生産していると紹介しました。
その後、デハイコーンサイレージとデハイ大麦サイレージの特徴や給与試験結果を解説しました。大麦サイレージは西カナダで長い歴史があり、WCSは品質・嗜好性ともに高いと説明。デハイコーンサイレージとデハイ大麦サイレージは高デンプン・高エネルギー価が特徴で、イネ科の粗飼料と置き換えることでメリットがあると述べました。
高泌乳牛のエネルギー不足を感じた際に活用を推奨し、その際は粗飼料割合を増やすことがポイントだと説明しました。また、バーアグでは年間を通じて安定した品質を維持できるため、輸入粗飼料を多く利用する日本において有用性を発揮すると述べました。
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PROFILE/ 筆者プロフィール
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小川諒平Ryohei Ogawa
DairyJapan編集部。
1994年生まれ、千葉県出身で大学まで陸上競技(走り高跳び)に励む。
趣味はサッカー観戦。
取材先で刺激を受けながら日々奮闘中。
皆さんに有益な情報を届けるために全国各地にうかがいます。