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増改築による搾乳ロボットVMS™導入の参考事例と留意点

PICK UP 2024.07.31

 前回は「増改築による搾乳ロボットVMS™導入、うまくいく? いかない? 成功への必須の要件」と題して「何が重要で、何が必要なのか」という方法と要点についてお話ししました。
 増改築による搾乳ロボットVMS™導入では、地域性や敷地面積・牛舎構造、既存施設全体の配置状況など、現状の環境下でロボット前スペースや牛の導線などに配慮し、増改築導入プランの計画をスタートさせます。今回は、その参考事例をご紹介します。

「計画以前に知るべき増改築によるVMS™導入の基本的事項」

 通常、増改築でのVMS™導入の場合、大きく2パターンに分類されます。
 ①パーラー棟付帯の牛舎とロボット併用増改築
 ②単独フリーストール・フリーバーンのロボット搾乳施設増築計画

 ①では、既存パーラーと理想的な作業導線の確立など併用案が必要となるため、創意工夫が求められますが、それ以外の部分では①、②ともに増改築の留意事項は共通です。

 新築・増改築を問わずフリーストールへVMS™を配置する場合、基本的に2種類のレイアウトが存在します。

 【図1】は3ロウおよび2ロウ対尻牛床の場合に用いられることが多く、牛舎の軒側(のきがわ)にロボット室を設ける形になります。
 【図2】は3ロウおよび対頭式2ロウにのみ可能な配置で、妻側(つまがわ)にロボット室を置く形です。

 ロボット室内は、VMS™本体の前後に一定のスペースが必要で、必然的に最低幅が決まります(4.8m~5.5m)。【図2】のように牛床に対して平行にVMS™を配置する場合には、牛床が縦に連なる対頭牛床が必要です。その半面、増築の場合も牛床には手をつける必要がなく、既存部に大きく干渉しないため、工事中も牛達の存在がほぼ影響しません。

 しかし、既存の牛床長に大きく影響を受けるため、ロボット室自体が狭く、牛通路を横断してロボット室への出入りとなります【図3】。従って、クリーンアクセスや日常メンテナンスの面では処理室と一体構造が可能な【図1】外列配置の方が優れていると言えます。
 その一方で、外列配置では牛床をいくつか撤去してロボット室を配置する必要があります。

「パーラー棟付帯の牛舎とロボット併用増改築」

 パーラー付帯牛舎への増加築によるVMS™導入の場合、大きく以下に分けられます
・既存パーラーと併用による増頭
・現状の搾乳牛の一部をロボット搾乳へ移行

 いずれも既存パーラー施設の真逆にあたる位置への増改築が望ましいでしょう。
 これは、パーラー牛群とロボット牛群の分別が明確で、グループ間の牛の移動もスムーズに行なえることが最大の理由です。また、既存牛舎が延長される形であるため、除糞や給飼作業も、それまでの作業導線から大きな変更が不要なことも魅力の一つです。 
 また、可能であればバーンスクレッパーなどの自動除糞システムの導入をお勧めします。ロボット牛群では24時間常に牛達の存在があり、作業の難易性が非常に高いためです。
 これにより必然的に除糞回数も最小となり、蹄病などの発生が牛達の自発的訪問に大きな影響を及ぼすことも懸念されます。

 逆に、既にスクレッパーを導入済みで「増頭」を図る場合は、集糞溝を挟んで牛床を増設する必要があり、どのように集糞溝以降の牛達をVMS™に向ける導線を確保するか、非常に難しい工夫を迫られる状況もあります。

 【図5】は、通路上の集糞溝を交わして、対頭牛床の並びに牛たちの通路を設けた例です。決して理想的とは言えませんが、広い通路スペースの確保とロボット内給飼による魅力により、VMS™訪問へのモチベーションを十分期待できるでしょう。

対頭牛床並びの最小増改事例

 最後に対頭牛床並びの最小増改事例をご紹介します。

 既存牛舎は「対頭牛床2ロウダブル」、いわゆる飼料通路を挟んで両側に牛床が存在する構造です。
 VMS™を2台導入したことを利用して、ロボット室背面に同じ幅の処理室と機械室をそれぞれ配置しています。多少手狭感はありますが、作業通路を塞ぐことなく建築コストを最小限にとどめる優れた工夫です。

 今回は、フリーストールを参考例に増改築によるVMS™導入のプランをいくつかご紹介しました。基本的に自由度の高いフリーバーンであれば、誘導型トラフィックを含めてシンプルかつスペースや段差などの問題も少ないと言えます。

 増改築によるVMS™導入は、いかに「既存施設の現状に必要な要件を組みつけるか」にそのプランニングの本質があります。つまり、「増改築でも必要なものは取り入れる工夫」や「理想的ではなくとも効率的を求める」と言った「導入計画」が成功のカギになると言うことです。

 増改築による導入に関するご質問は、是非お気軽にお近くの弊社営業所、ホームページまでお問い合わせ下さい。

PROFILE/ 企業プロフィール

デラバル株式会社

デラバル株式会社

創立から140年を超えた歴史ある酪農関連機器メーカーです。スウェーデンに本社を構え、持続可能な酪農業と食料生産への貢献を目指し、搾乳ロボットVMS™V300をはじめとする環境負荷への影響に配慮した製品開発と提案、アフターサービスを提供しています。

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