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その牧場に「VMS™」が導入されている意味

PICK UP 2026.06.01

― 既存施設を活かしたVMS™活用という選択 ―

 デラバルのファームアドバイザリーは、全国の牧場を定期的に訪問し、日々の運営や牛群管理の状況を確認しながら、改善のヒントをお伝えする活動を行っています。牧場にお伺いしたときには、まず第一に「今ある条件の中で、どう運用し、どう安定させるか」を一緒に考えることから始めます。

VMS™は「設備条件」だけでは決まらない

 デラバルのファームアドバイザリーでは、牧場ごとの条件に合わせて、搾乳ロボットVMSの運用を牧場主と一緒に考えています。理想的な状態に設備や環境を整えることが困難な場合でも、「今ある設備と環境の中でどう安定して運用するか」 という視点で改善策を検討・議論することがよくあります。

既存施設を活かした導入という選択

 今回ご紹介する牧場は、既存の牛舎や搾乳設備を活用しながらVMS™を導入している事例です。

 例えば、

  • 新たに搾乳関連設備を収納するための建物を建築せずにすむ方法を考え、
  • 既存のパーラー搾乳施設のスペースをそのまま活用
  • 排水設備やバルク室をそのまま流用

 といった形で、初期投資を極力抑えながらパーラー搾乳から自動搾乳に移行しました。

牛舎条件に応じた運用上の工夫

 既存牛舎を活用して自動搾乳へ移行する場合では、どうしても牛床数や作業動線が自動搾乳の理想的な条件に合わせることができないなどの制約があり、牛の滞留が生じやすい場面も見られます。

 この事例では、

  • 一定時間、牛を屋外に出すことで、少ない牛床数をカバーした
  • 24時間効率的に搾乳が行われるように作業時間帯を調整する
    といった方法で、牛舎内の混雑を緩和する取り組みが行われていました。

 また、ロボット周辺についても、

  • 通路の使い方
  • 通行のコントロール
    といった調整を重ねながら、牛の流れを整えている様子が見られます。

 こうした対応は一度で完成するものではなく、牛の動きや搾乳ロボットの稼働状況を日々観察し、その変化に応じて継続的に調整されている点が特徴的です。

稼働の安定性を意識した設備の考え方

 搾乳設備の経年劣化に関するトラブルも、「修理対応」という考え方だけでなく、稼働の安定性を優先して更新時期を判断するという選択が取られていました。

 必ずしもすべてのケースに当てはまるわけではありませんが、

  • 搾乳が停止することによって生産乳量が減少するリスク
  • 日々の作業が不規則になり、気持ちが休まらないことへの影響

 を踏まえて、更新タイミングを検討する一つの考え方といえます。

現場で確認しているポイント

 ファームアドバイザリーの訪問では、データの確認に加えて、実際の現場の様子も重視しています。

 例えば、

  • 牛がどこで滞留しているか
  • ロボット前の待機時間
  • 作業に無理が出ていないか

 といった点を見ながら、運用全体を整理しています。
 「ロボットが空いている」「牛が思うように動かない」といった現象も、牛舎構造や作業タイミングが関係している場合があり、一つひとつの要因を分解して確認していくことが重要になります。

既存施設でのVMS™活用は「一つの選択肢」

 既存施設でのVMS™導入・運用は、条件によって難しい点もありますが、工夫を積み重ねることで運用されている事例も見られます。

 この事例では、

  • 既存設備を活かす
  • 牛群管理を調整する
  • 作業内容を見直す

 といった対応を通じて、日々の搾乳を継続しています。

牧場ごとに異なる最適な形

酪農経営で設備投資を検討するときは、

  • 新築か、既存施設の活用か
  • 生産性を重視するか、安定性を優先するか
  • 労働力を十分に確保するか、できるだけ機械による自動化を実現するか

 といった選択が求められます。

 VMSはその判断を支える選択肢の一つであり、重要なのは「どのように使うか」です。

 ファームアドバイザリーでは、こうした判断に対して、牧場ごとの状況に応じた形で検討を進めるためのサポートを行なっています。

PROFILE/ 企業プロフィール

前田 真之介

前田 真之介

Dairy Japan編集部・北海道駐在。北海道内の魅力的な人・場所・牛・取り組みを求めて取材し、皆さんが前向きになれる情報共有をするべく活動しています。
取材の道中に美味しいアイスと絶景を探すのが好きです。
趣味はものづくりと外遊び。


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