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家計調査から見えるもの

JOURNAL 2024.09.04

 8月、わが家の近所のスーパーで、米(精米)が、2kg袋も含めて棚から消えました。宮崎県と神奈川県での地震発生のすぐ後だったので背景は察しがつきましたが、参考にと思い家計調査を見てみました。もちろん知りたいデータがすでに発表されているわけではないのですが(この原稿を書いている時点で最新のものは2024年6月ぶん)、面白いことがわかりました。米への支出金額が、6月に顕著に上昇しているのです(図1)。例年だと年間で最も支出金額が高くなるのは10月で、夏頃は低いのですが、今年は例外のようです。

 米の購入頻度、購入数量、平均価格は、それぞれ図2・3・4のとおり。6月の購入頻度と購入数量はさすがに前月より減っていますが、過去3年と比べると高い水準にあります。ここでは数字は省略しますが、同じ穀類であるパンや麺類の購入頻度や購入数量は、過去3年のうちでは低い水準にあるため、米の消費については注目すべき動きだということになります。

 では牛乳は?

 牛乳の支出金額は、過去3年より高い水準が続いています(図5)。ただ、購入頻度、購入数量は低い水準となっています(図6・7・8)。

 購入頻度や購入数量は低く、したがって牛乳の消費はどうか? と問われると、少なくとも6月までは低調な状況が続いていると言わざるを得ません。要因として直近では、やはり昨年8月の価格改定が考えられるでしょう。

 さて、Jミルクでは毎年「食生活動向調査」を実施しています。2012年度から毎年行なっている、インターネットを活用した全国1万人規模の消費者調査です。2023年度の調査結果(2024年2月2日公表)から、こんなことがわかっています。

・牛乳類の「実際の購入価格」と「望ましい販売価格」との間にギャップがある。価格が高いと感じている消費者が多くなっている。
・値上げを実感していても、牛乳類の「栄養・健康の価値」「おいしさの実感」「酪農家への共感」がある人は、牛乳類の飲用・利用が減少しにくい傾向にある。
(調査結果はこちらから)
https://www.j-milk.jp/report/trends/index.html

 この調査では、「酪農家への共感」を質問するのが通例になっています。2023年度調査でも「酪農家について、『誠実さの印象/親しみ/感謝』といった『共感』の気持ちをどれくらい感じますか」と聞いたところ、「とても感じる」が16%、「感じる」が28%、「どちらかといえば感じる」が33%でした(ちなみに、「どちらかといえば感じない」は12%、「あまり感じない」は4%、「まったく感じない」は5%となっています)。

 また、この調査では「牛乳類は、卵などほかの食品と比較して、価格が上昇して値上げ感を感じても、飲用や利用が減少しにくい」とも考えられるとしています。上記の消費者の酪農・酪農家への共感は、大切に守っていかなければならないと感じます。

PROFILE/ 筆者プロフィール

一般社団法人Jミルク

一般社団法人Jミルク

酪農・乳業に加え、牛乳販売店の団体など、計23の正会員、95の一般・特定賛助会員(個人を含む、2024年4月現在)でつくる業界団体です。おもに、生乳・牛乳乳製品の需給や生産流通の安定、牛乳乳製品の栄養や健康に関する啓発、学校給食などを通じた牛乳の飲用習慣の定着、国際機関との連携や情報交換、およびそれらの理解促進や広報などを行なっています。最近は、酪農乳業の歴史に関する資料の収集や調査なども行なっています。事務所は東京・お茶の水にあります。

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