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水本牧場ブログ3:乾乳編「現在の乾乳管理と分娩時間のコントロールの考え方」

JOURNAL 2024.06.18

 前回、分娩時間をコントロールすることをご説明しました。今回は、私が実践する具体的な給飼方法についてご説明します。

理想的分娩時間のための給飼スケジュール

 まず理想的な分娩のタイミングについて、私は自農場の乾乳牛(フリーバーン、ロール給与)は、朝夕の搾乳前後に分娩するように計算して給飼しています。
 夕方の搾乳後の給飼タイミングがメインで、そこで1日ぶんのロールを与えています。朝は、その残りを見てエサを均したり、少し足したりしています。配分で言うと、夕方9:朝1のイメージです。

 ロールは長いまま与えて、食べる時間、反芻時間をより計算しやすいようにしています。
 食べる時間に対して反芻時間は約3倍と仮定して、2時間食べ+6時間反芻+分娩準備2時間=10時間後に分娩するだろうと仮説を立てています。
 私の場合は18時30分にロール給与、翌朝4時30分に仕事を開始しているので、その時間帯に分娩するだろうという設定です。朝は8時に濃厚飼料とロールを給与して、5時間後の13時過ぎから、分娩が始まる設定です。

 だいたい設定どおりに分娩がありますが、夏の放牧時は午前中から分娩が始まることもあり、このスケジュールで給飼していることで、現在は見事に深夜の分娩がありません。うちは90%以上が自然分娩なので、分娩後の流れもスムーズです。

夕方にメインディッシュのわけは?

 夕方にメインのロール給与をするメリットとして、分娩だけでなく反芻によるルーメン発酵熱のコントロールがしやすいと考えています。夏は、夕方の涼しい時間に給与することで、しっかりエサを喰い込んでもらい、暑い昼にゆっくりと送風機にあたりながら寝てもらい、ルーメン発酵熱をコントロールしています。

 冬は、夜寒くなる前、夕方にしっかり喰い込んでもらって、気温が下がる深夜から朝方にルーメン発酵熱で体温管理をしてもらい、昼は牛舎内に太陽光できるだけ取り入れ熱を蓄えてもらい、体温管理をしてもらっています。1日をとおして体温の上下が少なくなれば、良い乾乳管理ができ、胎子にも良い影響があると思います。

実践のポイントは観察・実行・継続

 分娩時間のコントロールは観察力・実行力・継続力が重要です。さらに、牛達から信頼されていればより精度が上がります。ルーメン発酵熱での体温管理もうまくコントロールできれば、「強い牛」を産むことにつながり、うちではそれが理想的な乾乳管理につながっています。
 牛との信頼関係はとくに重要で、「この人になら分娩を任せられる」と思ってもらえれば牛達も安心してこちらの仕事時間に合わせた分娩になります。
 「良い牛を作る」考え方として、生まれてから良い牛に育てるというよりも、生まれる前から乾乳管理をしっかり行ない、胎子期間のうちに「強い牛」作るイメージを持ち、分娩後に初乳を飲ませて、「強い牛」が完成するイメージで日々管理をしています。

 挑戦してみたい方で、気になることや質問などがありましたら、お答えしますのでぜひご質問ください。

 次回は、「乾乳期間と飼養管理」をお伝えします。

PROFILE/ 筆者プロフィール

水本 康洋

水本 康洋

1983年、別海町の酪農家生まれ。
北海道立農業大学校卒で、帯広市の酪農ヘルパーを経て、実家に就農。
その後、実家を離れ、浜中町にて研修後、2016年4月に新規就農し、現在に至る。

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