「観察」には人それぞれの視点があり、全員に同じものが見えているとは限りません。
同じ空間や環境に身を置いていたとしても、説明や共有がないまま「自分勝手に共通認識だと思い込む」のは禁物です。
そもそも身長や視力が異なるため、見え方に違いがあるのは当然のことです。男性と女性とでは着目するポイントが異なり、知識量の多少によっても、目で捉えて脳で判断するプロセスに差が生じます。
だからこそ、最初から互いの違いを認識したうえで、観察した情報を共有し、コミュニケーションを取ることが重要です。
違いがあるからこそ、より豊かな情報を得るために、日頃から全員が主体的に観察を行うことが大切になります。
妻の観察眼から学んだこと
妻は非常に優れた観察眼を持っており、とりわけ繁殖や仔牛の管理に長けています。
以前、子供の出産に伴う里帰りで数カ月間1人で仕事をした時期がありましたが、同じような管理が出来ませんでした。
→発情の見逃しによる授精数の低下
→仔牛の下痢や風邪を未然に防げず、対応が後手に回る事態
同じ環境で同じ場所を見ていながらも、その捉え方が違うという現実を痛感させられました。
子供や牛の目線から気づくこと
最近、子供と牛舎で話していると、子供独自の視点にハッとさせられ、多くの驚きと学びがあります。
単純に身長差からくる見え方の違いだけでなく、純粋な価値観に触れることで新たな気づきが得られます。
また、身長差で言えば「体感気温の違い」も見逃せません。熱気は上に上がり、冷気は下に溜まるため、同じ空間であっても大人と子供、そして仔牛と経産牛では感じ方がまったく異なります。こうした違いにも意識を向けなければならないと感じます。

チームの目線を揃えるために
視点や価値観の違う人々が同じ方向へ進むため、目線を揃えるアプローチには工夫が必要です。
①日々の目標の重要性
大きな目標や最終到達点を掲げることも大切ですが、それ以上に「最低基準」や「日々のなかで達成しやすい目標」を設定するほうがより効果的です。
②可視化と共有
そうした目標を目に見える位置に書き出しておくことも役立ちます。
③日常的なコミュニケーション
日頃から対話を重ね、情報を共有し合うことで、視点や価値観が異なる人々の目線を自然と揃えることができます。その結果、同じ方向へスムーズに進めるようになり、仕事の効率も向上します。
観察における負担とこれからの組織づくり
うちのように夫婦2人体制の場合、1人あたりの観察の負担はどうしても大きくなってしまいます。
規模や作業者の人数に合わせて役割を分担することで負担を軽減することは可能ですが、その一方で、観察には本来なるべく多くの時間をかけるべきだという思いもあります。「どこまで時間をかけ、どこを効率化して減らすのか」これは、日々の酪農において向き合い続けるべき永遠の課題と言えます。
違う価値観や視点を持つ人達が集まる場合、互いに補い合える関係であることが理想です。それぞれの個性を大切に保ちながらも、日々のコミュニケーションを通じて目指す方向を一つに重ねていく。そうして視点の違いを強みに変えていくことができれば、より強固な組織が築け、質の高い仕事ができるはずです。
