前回、乳牛管理をするうえで飲水が重要であることを、紹介しました。今回は、実際のわが家の事例を紹介しながら「飲水の重要性」についてお話しします。
事例① 盲点だった搾乳牛舎。原因は洗われていない水槽だった
だいぶ前ですが、実家にいた頃の話です。 搾乳担当の方から、「バルク乳量が減ってきている」との相談がありました。 乾乳、分娩、治療等の管理状況に大きな変化はないとのことでしたが、エサの担当者に確認すると「最近、残飼が多い」とのことで、何か心当たりがないかと私に相談がありました。 私は当時、主に乾乳・哺育・育成を担当しており、搾乳牛舎の方にはほとんど見回りに行っていませんでした。そこで、担当作業の合間に搾乳牛舎の見回りを行うことにしました。 すると、すぐに原因が判明しました。水槽が洗われていなかったのです。
うちでは、朝夕の搾乳時に牛床や通路と合わせて、水槽も毎回清掃することをルールとしていました。そのため、水槽の状態を見ればすぐに異変に気づくことができました。 原因を探ると、新しく入った従業員に対する説明が徹底されておらず、本人の判断で清掃回数を減らしていたことが分かりました。 すぐに清掃の重要性を説明し、改めて毎回清掃を徹底してもらいました。 その結果、すぐに残飼はなくなり、次第に乳量も回復しました。
この経験を通じ、水槽を清潔に保つことが牛の健康管理と収益に直結する重要性を再認識し、真摯に学ぶことができました。
事例② 食塩を混ぜて引水量を高めてみる
新規就農当初、ロールが硬く、食い込みが上がらず、乳量も低い状況でした。 食い込みやすいロールを作るための草地改良には時間がかかります。そのため、まずは飲水量を増やすことで食い込みを上げることを考えました。
その対策の一つとして、食塩を給与しました。 それまで置いていた鉱塩では飲水に繋がっている実感がなかったため、食塩を配合飼料に直接振りかけて給与することにしました。 すると、飲水量が増えた実感があり、食い込みも向上しました。
その後は、草地改良と食塩給与の効果に加え、微生物製剤の効果もあり、徐々に乳量が増えていきました。4年目以降は、食い込めるロールが作れるようになったため食塩の給与はやめ、微生物製剤の給与に力を入れました。
この頃はまだ乳量が季節ごとにバラついていました。特に冬期間は、気温の低下に伴って飲水量が下がっていました。その対策として、微生物製剤を給与してルーメンを活性化させ、発酵熱を促すことにしました。発酵熱を維持することで飲水量を増やそうという試みです。 ルーメンへの効果が高い微生物製剤を使用し、さらに微生物が活躍しやすい環境を作るため、エネルギー重視の飼料設計に切り替えました。 目視でわかるほどの「ルーメンの張り」を目標にした結果、飲水量の増加とともに乳量も増加し、それ以降は通年で安定した乳量を維持できています。
牛の管理において飲水は基本ですが、基本だからこそ経営を左右するほど重要です。飲水量を増やす方法は他にもたくさんあると思いますが、これはその中の一例です。
各牧場の皆さんの事例も教えていただけると嬉しいです。
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