vol.12から、嗜好性の良い草、柔らかい草と、牧草のことについてを3部作で書いてきました。今回は締めくくりの牧草の成分についてです。この第3部で、牛が食べたい牧草への手がかりを掴んでもらえたら嬉しいなと思います。
レシピ3選
皆さんが牧草の成分で欲しいものは何でしょう? そう聞くと「蛋白質」「繊維」「糖分」の三つに分類できるのではないでしょうか?
土に対してのアプローチをレシピとして紹介しようと思います。
①蛋白質を増やすためのレシピ
蛋白質合成までの流れは、
窒素→アミノ酸→蛋白質
という順番で、植物の体内で変化していきます。 「じゃあやっぱり窒素を入れるのが良いんだ!」と思ったあなた、少し待ってください。
先に結論を言うと「根を成長させないと蛋白質は安定して増えない」のです。
理由は大きく分けて二つ
1,植物は硝酸態窒素を水と一緒に吸収する。
2,光合成に影響する
です。
混乱しやすいので1つずつ進めましょう。
1,硝酸態窒素について
植物が窒素を吸収する時は主に二つの形で吸収されます。それは「硝酸態窒素」と「アンモニア態窒素」です(化学肥料もスラリーも同じです)。アンモニア態窒素は根に触れることで吸収しますが、硝酸態窒素は水の流れに乗って根から入り、吸収されます。
根の成長がない限り、窒素の吸収率は上がらないことがわかると思います。
2,光合成に影響する
皆さんは光合成を覚えていますか? 過去何度か記事で取り上げましたが、光合成とは
「二酸化炭素+水+光=糖+酸素」ですよね。ここに「水」が含まれます。水がないと気孔が閉じて、二酸化炭素の吸収ができなくなります。
蛋白質の一つ前はアミノ酸です。
アミノ酸=窒素+糖でできた土台(炭素骨格)なので、光合成で出来上がる糖が必要なのです。
結局、水がないと硝酸態窒素も入ってこないし、光合成もできないから糖もない。 つまり、根が大切ということですね。

②繊維を上げるためのレシピ
繊維量を増やすのなら、蛋白質と逆の流れを考えると良さそうです。
蛋白質を上げると繊維が減り、繊維が増えると蛋白質が減ります。(皆さんは早刈り・遅刈りで体感していると思います!)
若い草は成長が早く、糖分が追いつかず細胞壁が厚くなっていないため柔らかいのです。
前回も書きましたが、繊維の大元は「糖」です。 糖が余ると、細胞壁に回せるようになります。更に防御が必要だと判断するならば、糖を原料にワックスを作り出して草がツヤツヤになっていきます。これを「クチクラ層」と言います(糖が多いペレニアルライグラスはクチクラが多いんです)。
繊維を上げるのなら、窒素を抑えて遅刈りする。これで繊維が増える条件が整っていくと思います(消化されにくい繊維も増えていきますが…)。

③糖分を上げるためのレシピ
糖分はシンプルです。光合成の促進を最大化させてあげることですね。
根を安定させること、Mgを供給すること、呼吸しやすい土を作ること。
ここは前回の記事を読んでもらえるといいかなと思います。

まとめ
蛋白質は窒素+糖だし、繊維も糖が積み重なるとできあがります。つまり、全てに糖は関わってくるんです。(総合的に「今村は結局糖分としか言わないよね」となります)だから光合成をするんだなと。
三つのレシピを載せましたが、皆さんはどれが良いと思いますか?
次は糖を生み出す光合成を最大化させるミネラルや成分管理についてお話しようと思います。最後まで読んでいただきありがとうございました!
PROFILE/ 筆者プロフィール
今村 太一Imamura Taichi
標茶町を拠点に、土壌改良資材の販売や周辺酪農家さんのサポートをする「soil」の代表。飼料会社に13年勤めた後、ドライフラワーやマツエク、ネイルのお店を経営。弟と一緒にsoilを立ち上げ、今は土や牛、人とのつながりを大事にしながら活動中。
経営やコーチング、微生物の話が好きです。「目の前の人に丁寧に」が大切にしている想いです。




