こんにちは! 今回は、今年取り組んだことのうちの一つをご紹介します。
今年は猛暑による暑熱ストレスの影響を考慮して、送風機、換気扇を見直し整備をしたり、アミノ酸、ナイアシンの給与などの取り組みを行なったので、乳量の減少や受胎率の低下は最小限に留めることができたのではないかと思います。
しかし、ここからまた生産性を高めたいと思いながら、夏から秋への移行期間に油断してしまい、乳量、受胎率の向上が上手くいきませんでした。今年は、夏が終わると、秋を通り越して冬が到来したかと思うくらい、朝の冷え込みが続きました。かと思えば、昼は暖かく、1日の中での気温差が激しく、それがストレスになり、牛達の体調をコントロールすることができていませんでした。
このような反省から、飼料管理の見直しをするなかで、ビタミンの給与量を長年変えていないことに気がつきました。
牛達の能力(ゲノム)も向上し、生産性も向上しているので、給与量の増量を検討することにしました。
そこで、今回はまずビタミンは何の目的で給与していたのかを、改めて考えることにしました。
寒冷対策とビタミン利用の重要性
寒冷期(冬期)は、乳牛にとって特別な栄養管理が求められる時期です。
理由は、
①寒冷ストレス
②日照不足
③粗飼料の切り替わり
これらの要因により、ビタミン類は不足しやすく、より要求量が増加します。ですので、積極的な給与が疾病予防と生産性維持に重要と考えました。
『ビタミンA』→粘膜と免疫のビタミン
ビタミンAは、粘膜を保護し、免疫機能と繁殖に深く関わります。全体的には免疫機能の維持という役割があります。主には乳腺や子宮、呼吸器の粘膜を健康に保つことを目的としています。
それに付随して、乾乳期に給与することで乳腺の抵抗力を高め、分娩後の乳房炎や子宮の感染症対策に、と考えています。泌乳期には正常なホルモン産生を助け、受胎率の改善や流産・死産の防止に寄与します。
寒冷、乾燥や換気不良によりダメージを受けやすい鼻や気管の粘膜を保護し、冬場に多い、寒冷ストレスから来る肺炎などの呼吸器疾患のリスクを低減します。
『ビタミンD』→カルシウム代謝のビタミン
ビタミンDは、カルシウム(Ca)とリン(P)の代謝を調節し、骨の健康と分娩前後のCa代謝に不可欠です。
ビタミンDの目的の一つは、私の場合低カルシウム血症(乳熱)の予防にあります。乾乳後期(分娩直前)に給与することで、分娩後の急激なCa需要(初乳生産)に対応できるようにしています。泌乳期を通じて必要なCaの安定供給を支えます。
寒冷対策としての効果ですが、ビタミンDは、日光(紫外線)を皮膚に浴びることで体内で合成されます。 冬場は日照時間が短く、紫外線量も弱まるため、体内でのビタミンD合成量が低下します。合成量が減るぶん、飼料からビタミンDを強化して給与しなければ、Ca代謝異常(乳熱や起立不能)のリスクが高まります。
今回は、ビタミンA、Dを考えてみました。
次回は、とくに重要視しているビタミンEとセレンについて考えます。




