酪農女性サミット2025開催! 全国から酪農を頑張る方々が集まり交流。その様子をお届け〜その1〜
2025年12月3・4日、札幌市で「酪農女性サミット2025」が開催されました。酪農に携わる女性をはじめ、全国から200名以上の参加者が集まりました。
サミットでは、酪農現場で活躍する女性チームにより開催され、「明日の仕事の活力になるように」という思いでさまざまな企画が行なわれました。
活躍するじょせいけいえい
基調講演では、株式会社おてつたびのCEOである永岡里奈さんが登壇。 「お手伝い」と「旅」を掛け合わせた「おてつたび」とは、地方の農村地域の魅力を伝えながら労働力不足に悩む地域事業者の労働力確保に貢献しているサービス。

「どこそこ?と言われるような地域にこそ、人が集まる可能性がある」と語る永岡さん。自身の出身地である過疎地域での原体験から生まれたこのサービスは、どのようにして若者を惹きつけ、地方社会にどのような影響を与えていくのでしょうか。
酪農業での事例も紹介しながら地域の課題を解決する様子や、永岡さんの地域活性にかける思いがシェアされました。
人手不足は「消耗戦」ではない。1人が何役もこなす未来へ
「人が足りないなら、取り合うしかない」 そう考えてしまうと、地方の人材獲得競争は消耗戦になってしまいます。
講演の中で強調されたのは、「人を取り合うのではなく、1人が何役にもなれる未来を作る」という視点でした。
人口減少が進む日本において重要になるのは、地域の外にいる人が、ある時は労働力として、またある時はその地域のファンとして関わり続ける仕組みです。いわゆる「関係人口」の創出です。
「おてつたび」が目指しているのは、誰もが居住地以外に「好きでたまらない地域」を複数持ち、そこへ手伝いに行ったり、地域の産品を買い続けたりする未来。人が減っても、人の往来とお金の循環を生み出すことで、地域産業を持続させていくという考え方です。
若者が「おてつたび」を選ぶ理由とは
「おてつたび」は、ウェブ上で「短期間の仕事(手伝い)」と「旅」を掛け合わせたマッチングサービスです。 現在、ユーザー数は8.8万人に達し、その半数が10代・20代の若者だといいます。
注目すべきは、彼らの参加動機です。 「稼ぎたい」という金銭的な理由よりも、「いろんな地域を見てみたい」「経験をしてみたい」という動機が上位を占めています。
つまり、時給の高さやアクセスの良さ(東京からの近さなど)で勝負する必要はないということ。 むしろ、「そこにしかない体験ができるか」「どんな想いで酪農をしているか」といった募集ページの魅力度(コンテンツ力)が、若者の心を動かしていました。
資金力や立地で不利になりがちな地方の牧場でも、自社の「魅力」を適切に発信できれば、十分に人材を確保することができるといいます。
実際に「おてつたび」を利用した酪農家の事例も増えています。本会実行委員である㈱mosirの小林晴香さんも活用しているとのこと。
地域の魅力で「違う土俵」に立つ
講演を通じて明らかになったのは、酪農家にとっての「当たり前の日常」や「作業」が、地域の外の人にとっては「特別な体験」になり得るという事実です。
人手不足を嘆く前に、まずは自分たちの牧場の魅力やこだわりを、外の世界に向けて発信してみる。「労働力」として人を呼ぶのではなく、「地域のファン」を作るつもりで募集をしてみるのも一つの手と永岡さんは語りました。
その2へつづく
PROFILE/ 筆者プロフィール
前田 真之介Shinnosuke Maeda
Dairy Japan編集部・北海道駐在。北海道内の魅力的な人・場所・牛・取り組みを求めて取材し、皆さんが前向きになれる情報共有をするべく活動しています。
取材の道中に美味しいアイスと絶景を探すのが好きです。
趣味はものづくりと外遊び。




