

今年も、6月1日は「牛乳の日」、6月は「牛乳月間」です。
というわけで、牛乳の日・牛乳月間の世界の総元締めのような「World Milk Day」のサイト( https://worldmilkday.org/ )を見ていたら、リンクから次のような情報に出合いました。
「牛乳が流行するずっと前から、牛乳はスーパーフードだった。健康的な体重の維持に役立つものから、強く引き締まった筋肉を作るのに役立つものまで、牛乳を飲むことによる健康上の利点は、研究によって裏付けられており、無視することはできない」
(デーリー・ファーマーズ・オブ・アメリカ=DFA=のサイト「Why milk is the original superfood for healthy men and women」 https://dfamilk.com/dairy-facts )
「牛乳は天然のスーパーフード。おいしさがぎっしり詰まっていて、コップ1杯の牛乳に驚くほど多くの栄養素が含まれている」
(フォンテラのサイト「Why milk is a naturally nutritious superfood」https://www.fonterra.com/nz/en/dairy-nutrition-hub/learn-and-discover/content/why-milk-is-a-naturally-nutritious-superfood.html )
国際酪農連盟(IDF)も、ややかたい表現ですが次のように言っています。
「牛乳や乳製品のような栄養素密度の高い食品は、あらゆるライフステージで質の高い栄養を提供し、健康的な食生活の一部になる。特に子どもや高齢者にとって、摂取不足の栄養素を補うのに適している」(IDFのサイト「バランスのとれた食生活における牛乳乳製品」 https://fil-idf.org/our-work/nutrition-and-health/ )
牛乳ってやっぱスゴイかも……。実は、日本人もはるか昔にそのことを感じ取っていたようなのです。今回は、そのことをご紹介します。
「はるか昔」とは、さかのぼれば今からだいたい1500年前。この頃、「朝廷は全国各地に官営の牧場を作って乳牛を飼い、地方豪族も乳製品を作り朝貢した。中国から伝えられた乳製品は酪、酥、醍醐であった」(北岡正三郎『物語 食の文化』(中公新書、2011年))といわれています。「醍醐」は乳製品のいわば最高級品で、「醍醐味」の語源であるといわれています。
渡来人の子である善那が孝徳天皇(在位645~654)に牛乳を献上し、天皇は「牛乳は人の体をよくする薬である」と、たいそうお喜びになり、善那は「和薬使主(やまとのくすしのおみ)」の姓を拝命。また医療・調薬を担当する「典薬寮」で乳牛の飼育や牛乳の調達、乳製品製造などを管理する「乳長上(ちちのおさのかみ)」に着任したといわれています(Jミルク・ファクトブック「日本におけるミルクの歴史」https://www.j-milk.jp/report/study/hn0mvm0000006mhj.html 1ページ)。
その後、江戸時代の享保年間には8代将軍徳川吉宗が安房嶺岡(現在の千葉県)に牧場を開設し、そこでは牛乳を煮固めた「白牛酪」が製造されました。白牛酪は非常に貴重なもので、病人などはそれを削って、お茶で飲んだといいます。
そして明治時代には「欧米の食文化が浸透するにつれて都市での牛乳の飲用も徐々に広まったが、病人や病後の体力の回復が目的であった」(『物語 食の文化』)とされています。また、明治初期の牛乳に関する書物や広告には、「薬効」「滋養強壮」効果著しく、そのうえ「頭が良くなる」「根気が鍛えられる」ことも期待できる「奇跡の妙薬」などとうたわれています。
このように、「牛乳はスゴイ」ことは古くから知られていました。ということは、その“原点”に戻れば、牛乳や乳製品の醍醐味とは、食味の良さに加えて、その栄養面をも含んでいるのかもしれません。
さて話を戻しまして、牛乳月間にJミルクは、関係者がSNSで感謝の気持ちを伝え合う企画を実施する予定です。「ミルクでつながる『ありがとう』の輪」というのを掲げています。ご関心のある方、ぜひ専用ページ( https://www.j-milk.jp/milkday/index.html )をのぞいてみてください。また、冒頭でご紹介したワールドミルクデーのサイトでは、過去の「世界牛乳の日」のSNS投稿などもアーカイブされていて、笑えるもの、二度見したくなるものなど多彩です。皆さまも、さまざまな国、さまざまな人とつながる“醍醐味”を味わってみてください。
PROFILE/ 筆者プロフィール

一般社団法人Jミルク
酪農・乳業に加え、牛乳販売店の団体など、計23の正会員、95の一般・特定賛助会員(個人を含む、2024年4月現在)でつくる業界団体です。おもに、生乳・牛乳乳製品の需給や生産流通の安定、牛乳乳製品の栄養や健康に関する啓発、学校給食などを通じた牛乳の飲用習慣の定着、国際機関との連携や情報交換、およびそれらの理解促進や広報などを行なっています。最近は、酪農乳業の歴史に関する資料の収集や調査なども行なっています。事務所は東京・お茶の水にあります。