酪農技術情報

哺育牛の発育が良いと繁殖が良くなる

JOURNAL 2025.02.18

小川諒平

小川諒平Ryohei Ogawa

『Dairy Japan 2024年5月号』P.55「初産分娩までが未来の経営を左右する No.3–育成授精前の発育–」より

 育成牛は、あなたの農場の将来の牛群です。ですから育成管理の改善は、経営基盤の強化と言えます。
 育成管理の改善に軸足を置いた「初産分娩までが未来の経営を左右する」と題したシリーズで、海田佳宏さん(株式会社 清流酪農サービス・代表)が詳しく解説してくださいました。
 今回は、その3回目です。以下、抜粋・要約。

3カ月齢の発育で変わる

 育成牛の発育と繁殖には、どのような関係があるのでしょうか?
 哺育牛の体重と、その後8カ月齢での子宮角直径の調査では、3カ月齢の発育の良否が繁殖器官の成長に影響を及ぼすことが報告されています。併せて、8カ月齢の体重が不足していると、春機発動が遅延することも報告されています(草刈ら)。

 著者の現場調査においても、6カ月齢前後の発育が停滞すると、繁殖器官の発育不良により春機発動が遅延することがわかりました。このような発育パターンは、「見た目の体格は大きいけれど、繁殖器官が未熟で授精できない」という事案が散見されます。
 その原因は、慢性的な栄養不足はもとより、暑熱あるいは厳寒のストレスや、粗飼料品質の不良、密飼いの場合などがあげられます。

育成期増体のカギは哺育にあり

 同じく著者の現場調査で、子牛の発育は農場によって、ずいぶんバラツキがあることがわかりました。
 例えば、2カ月齢は50kgから100kg、6カ月齢では125kgから225kg超、12カ月齢では250kgから400kgというバラツキでした。
 そこで、2カ月齢の体重・体高を基準として農場ごとに集計したところ、2カ月齢の発育が良好な農場は、その後、6カ月齢・12カ月齢の発育も良い傾向にありました。このことから、育成期の6カ月・12カ月時点の増体は、哺乳期間の増体と密接に関係していることが示唆されました。
 なお、2カ月齢で高増体だった農場は、初産分娩月齢も早い傾向にありました。

 本稿(Dairy Japan 2024年5月号)では、さらに、授精前の発育改善事例(現場事例)も詳しく紹介されています。

この記事が面白かったらシェアしてください!

↓  ↓  ↓

PROFILE/ 筆者プロフィール

小川諒平

小川諒平Ryohei Ogawa

DairyJapan編集部。
1994年生まれ、千葉県出身で大学まで陸上競技(走り高跳び)に励む。
趣味はサッカー観戦。
取材先で刺激を受けながら日々奮闘中。
皆さんに有益な情報を届けるために全国各地にうかがいます。

RELATED/ 関連記事

記事についてのお問い合わせ

error: クリックできません!